安全にスーツケースを使うためのコツ
飛行機を使って旅行をすると、どうしてもスーツケースを預けることになります。
しかし、これはまれにトラブルの原因になります。
空港のカウンターでスーツケースをチェックインしてしまえば、そこから先はあなたには手が出せません。
航空会社のスタッフを信用するしかないのです。
この記事では、盗難に合わないスーツケースの選び方と使い方について、いくつかのアイデアを紹介してみたいと思います、
目次
スーツケースを預けることは安全でしょうか?
空港で預けたスーツケースの99%以上は、安全に目的地に到着します。
しかし安全に到着しなかったケースも存在します。
盗難、遅延、紛失、破損などの事故と事件は、たとえばアメリカの例では一カ月に20万件以上発生しているという報告もあります。
カウンターでにこやかなスタッフに手によってタグがつけられてベルトコンベアに丁寧に乗せられた荷物は、その後のスタッフの手によって、ひどく乱暴に扱われる可能性を否定できません。
率直に言って、可能性ではなく、実際荷物の積み下ろしのスタッフにとっって、あなたのスーツケースは単なる「物体」のひとつであり、そのなかにどんな素敵なお土産が入っているかなどは、まったく考えに入っていません。
彼らは荷物を投げるでしょうし、蹴るでしょうし、何個ものスーツケースを積み上げて運搬するでしょう。
実際、飛行機に向かう通路の窓から、乱雑にカートに積まれて飛行機に運ばれていく荷物の山を見た経験はありませんか?
確かに、ファーストクラスやビジネスクラスの顧客の荷物には、それを示すタグがついています。
しかし、運搬スタッフにとっては、知ったことではありません。
特にそれが、陽気で朗らかで、細かなことを気にしない文化圏の従業員であれば、尚更です。
世界の労働者は、日本人ほど生真面目ではないのです。
むしろ、ファーストクラスの顧客のタグは、高価な荷物が入っていることを示す絶好の標識になるかもしれません。
盗難のターゲットになりやすいということです。
それでは、多少でもいいから、あなたのスーツケースの安全を確保するには、どのようにすればよいでしょうか?
スーツケースの鍵を過信しない
現在販売されているスーツケースの多くは、TSAロックを採用しています。
飛行機を使ったテロが行われた直後、チェックインする荷物に施錠すること自体が禁止された時期がありました。
この問題を解決するためにTSAロックが開発され、TSAロックであれば施錠してもよいことになりました。
TSAロックというのは、マスターキーを持った空港職員であれば、誰でもスーツケースを解錠でき、中身を検品できるというロックです。
この結果、空港職員によって、スーツケースの中身から貴重品だけ抜き取られるという盗難事件が多発するようになり、新しい問題を生み出すことになりました。
現在は国際線であっても、そこまで施錠に厳しく言われないようになっているかもしれませんが、国によっては依然としてTSAロックを求められます。
そして、場合によっては検品と称してTSAでないロックをペンチで破壊されることもあります。
更にもうひとつ、3桁の数字を使ったロックも盲信してはいけません。
私の経験上、3桁の数字であれば、15分あれば全パターンを試して解錠できます。
ロックがあるから安全というのは、誤った考えです。
スーツケースにベルトをかけない
記事によっては、スーツケースを放り投げられたショックで鍵が開いて中身が飛び散らないように、ベルトを巻いておくことを推奨する内容があります。
実はこれは大きな間違いです。
何故なら、スーツケースにベルトを巻くのは日本人だけだからです。
そして日本人の荷物というだけで、盗難のターゲットになりやすくなります。
それだけ日本人は不用心だと思われているのです。
スーツケースに日本語を書かない
スーツケースに自分の名前を書いている人がいます。
日本語が書かれたシールを貼っている人もいます。
確かに、飛行機を降りて、レーンを流れる似たようなスーツケースの中から自分のものを見つけるには、分かりやすいマーキングをしておいたほうがよいでしょう。
しかし、明かに日本人だと分かるマーキングは、ベルトと同じように危険です。
盗難のターゲットになりやすいのです。
マーキングをするのであれば、なるべく国籍不明でいて、本人は分かるような方法を考えましょう。
四輪のタイヤがついたスーツケースを選ぶ
スーツケースは、カートに乗せて運ばれて、飛行機に積み込まれます。
この時、車輪が四つついているスーツケースであれば、荷積みスタッフは転がして移動させるでしょう。
車輪が2つしかついていないスーツケースは、安定して転がすことができないため、放り投げるか蹴って転がすでしょう。
なるべくなら、四輪のスーツケースを使ったほうが安全です。
スーツケースの中の梱包を頑丈にする
このように、スーツケースは乱暴に扱われるので、中のパッキングは丁寧に行いましょう。
よく使われるのは、着替えの服などを緩衝材にして貴重なものや壊れやすいものを包む方法です。
これだと、スーツケースに余分な空間がとられないのでおすすめです。
それでも心配な場合で、かつ壊れやすいものをどうしても預けないとならない場合は、アルファゲルなどのショック吸収素材を使う方法もあります。
こういった特殊な素材の緩衝材は、たとえば東急ハンズなどで手に入ります。
チェックインを早くしすぎない
意外なことかもしれませんが、カウンターでのチェックインを早くしすぎないほうがよいかもしれません。
というのも、あまりに早くチェックインすると、空港内で荷物が迷子になったり、別の飛行機で運ばれる可能性が高くなるからです。
しかし一方で、ぎりぎりでチェックインすると、あなた自身と同じ飛行機に荷物を載せる作業に間に合わず、一本後の飛行機で荷物が到着する可能性も発生します。
保険には加入しておきましょう
航空会社は、荷物の紛失、遅れ、損傷のために最低限の補償しかしてくれませんし、精密機器や宝石などは補償のの対象外としている航空会社もあります。
安心な旅をしたいのであれば、自分自身の事故保険に加えて、荷物の補償も含んだ保険に加入することをおすすめします。
クレジットカードに付帯する保険を使う場合は、カバーされる範囲について確認しておきましょう。
ロックではなくファスナーがついたスーツケースは?
私は使っている小さなスーツケースは、TSAロックがついておらず、ファスナーしかついていません。
ファスナーの先を南京錠で施錠しています。
この数年に関して言えば、国内線・国際線ともに、このスーツケースで移動できています。
ただし、私が聞いたひどい盗難のケースでは、(おそらく空港職員によって)カッターナイフで布のスーツケースが引き裂かれて中身が抜かれていたというものがあります。
このエピソードを聞いて思い出したのが、時代劇のワンシーンです。
関所を越えて鉄砲を江戸に持ち込む時、荷物の一番上には申し出た荷物、その下に少し禁制の品物、その下に鉄砲を積んで関所を通ろうとします。
少し禁制の品物は見つかってしまうのですが、屁理屈を使って乗り切ります。
その品物の一部を賄賂として渡したりもします。
本当に密輸したい鉄砲は、こうやって持ち込むことができました。
もしあなたが本当に守りたい貴重品をスーツケースに入れるのであれば、泥棒が興味を持つけれど盗まれてもそれほど困らないものを、目につきやすい場所に入れておくというのもひとつの方法かもしれません。
スーツケース泥棒は、時間との戦いです。
手近に小さなお宝があれば、本当のお宝には気づかずに仕事を終えるでしょう。
追跡装置を使う
チェックインカウンターでつけられるタグのことを、バゲージタグと言います。
間違って古いタグをつけたままにしないようにしましょう。
また、荷物のなかにGPSを内蔵した追跡装置をいれておき、紛失したり盗まれた場合でも、どこにあるのかを調べる方法が、最近では可能になっています。
貴重品はチェックインしない
私の知人は、本当に貴重で壊れると困るものは、チェックインしません。
たとえばカルフォルニアに出張して、ナパバレーでワインを買い込んだら、本数制限ぎりぎりまで抱えて、機内に持ち込みます。
そして日本で貴重はオーパスワンを味わうのです。
そういれば、デスクトップパソコンがまだ高価だった時代に、背負って機内に持ち込んだ知人もいました。
できれば、荷物はコンパクトにまとめて、機内に持ち込むだけにしたほうが安全ですし、チェックインをギリギリの時間まで引き伸ばすこともできます。
まとめ
海外出張で現地に到着したら、それでも荷物が紛失したり盗難にあったらどうすればいいでしょうか?
航空会社のカウンターにクレームを入れることになりますが、当然現地の言葉でクレームしなければなりません。
これは、奥ゆかしい日本人には一番大変なことかもしれません。
クレームのコツは、何度も繰り返し同じことを強調することです。
最後はスーツケースから若干離れてしまいましたが、どうかあなたの大切なスーツケースと荷物をあきらめないでください。
そして大切な荷物を守るために、色々な工夫をしてみてください。