スチーム洗浄機の方式による性能の違いとは?2つの加熱方式と5種類の製品タイプ

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洗剤を使わずに床や台所・換気扇・浴室などの汚れを落とせるスチーム洗浄機は、日常的な掃除だけでなく大掃除でも活躍しています。

スチーム洗浄機は使い方にコツがあるとも言われていますが、加熱方式や形状の違いによっても使い方が異なるものです。

そんなスチーム洗浄機を5種類のタイプに分け、加熱方式の違いと合わせてそれぞれの特徴と想定される掃除のシーンについて解説します。





高温の蒸気を噴射できるボイラー式

スチーム洗浄機は水蒸気を発生させる方式の違いによって、ボイラー式とパネル式の2つに大きく分けられます。

以下で紹介する形状の違いと合わせて何種類もの組み合わせが存在しますが、ボイラー式はキャニスター型など3種類のタイプに採用されている加熱方式です。

ボイラー式は密閉されたタンク内に入れた水をヒーターが加熱させる仕組みで、圧力鍋と同じような原理が働いて高圧の蒸気が発生します。

噴射される蒸気がおよそ100℃の高温に達するという点が、ボイラー式スチーム洗浄機の大きな特徴です。

密閉構造のタンクに入れられた水を加熱することで高圧の蒸気が噴射されるため、ボイラー式のスチーム洗浄機は汚れを浮き上がらせる洗浄力に優れています。

パネル式は洗浄力が弱め

一方のパネル式はポンプを使ってタンク内の水をヒーターに送り、ヒーターの熱で蒸気を発生させながら噴射させる仕組みです。

ボイラー式のスチーム洗浄機は加熱に時間がかかるため7分前後の噴射待ち時間も必要ですが、パネル式は待ち時間が30秒程度にまで短縮できます。

パネル式のスチーム洗浄機は後述するスチームモップや2WAYタイプの他、一部のハンディ型・ポータブル型にも採用されています。

噴射される蒸気の温度が90℃程度にとどまり、洗浄力もボイラー式より落ちるところがパネル式スチーム洗浄機の弱点です。





歴史の古いハンディ型

スチーム洗浄機の中でもキャニスター型と並んで古い歴史を持つのは、本体を手に持って作業を行うハンディタイプの製品です。

ハンディ型スチーム洗浄機の加熱方式には、ボイラー式を採用した製品とパネル式を採用した製品の両方があります。

ハンディ型のスチーム洗浄機はコンパクトな作りとなっているため、換気扇も含めたキッチン周りの掃除に向いています。

一方でハンディ型スチーム洗浄機は水を入れて重くなった本体を手に持ったまま使用しなければならず、掃除しているうちに手が疲れやすくなるのが難点です。

ハンディ型スチーム洗浄機はガスコンロなどを毎日短時間ずつ掃除するような使い方に適しています。

ポータブル型は台所回りの掃除に活躍

使い勝手の点で課題のあったハンディ型を改良して使いやすいように設計されたのが、コンパクト型とも呼ばれるポータブル型のスチーム洗浄機です。

ポータブル型スチーム洗浄機はハンディ型よりも長いホースが付いているのが特徴で、水を入れて重くなった本体を近くに置いてその周辺に蒸気を吹き付けながら掃除をする使い方が想定されます。

ポータブル型スチーム洗浄機の加熱方式にも、ボイラー式を採用した機種とパネル式を採用した機種があります。

パネル式を採用した機種は水の継ぎ足しも可能ですが、噴射される蒸気の圧力はボイラー式より低めです。

ポータブル型はハンディ型と同様に床掃除のような広範囲の掃除には向かない反面、台所周りの掃除には威力を発揮します。

レンジフードの上やガスコンロのような場所だけでなく、トイレ掃除にも使える万能性もポータブル型スチーム洗浄機の優れた点です。

ソファやマットレスなど洗濯できない家具や寝具の布地部分を掃除したり、ぬいぐるみの汚れを落としたりといった使い方も考えられます。

スチームモップは床専用のスチーム洗浄機

カーペットや絨毯を敷いた床を掃除する中では、普通の掃除機だと汚れがなかなか落ちないというケースも少なくありません。

そうした頑固な汚れでもモップタイプのスチーム洗浄機を使えば蒸気が汚れを浮き上がらせてくれるので、見違えるほどきれいにすることができます。

モップ型のスチーム洗浄機はスチームモップとも呼ばれ、床掃除に機能を特化している点が大きな特徴です。

フローリングの床でも、モップタイプのスチーム洗浄機があれば床を清潔に保てるので、小さい子供がいるような住宅の衛生環境を向上させるのに役立ちます。

モップタイプのスチーム洗浄機は加熱方式にボイラー式ではなくパネル式が採用されていますので、水滴が出にくい製品を選ぶのがポイントです。

スチームモップとポータブル型を兼ねた2WAYタイプ

床のような広範囲の掃除に向いたモップタイプのスチーム洗浄機は、キッチンやトイレなど細かい個所の掃除には使えません。

逆にポータブル型はレンジ周りやガスコンロなど台所の掃除には便利ですが、床掃除には向かないという欠点があります。

通常は2台を別々に用意しなければならないところを、2WAYタイプのスチーム洗浄機は1台2役として使える製品です。

2WAYのスチーム洗浄機はハイブリッドタイプとも呼ばれ、一見するとスティック型クリーナーと似た形状をしています。

付属するアタッチメントの種類が豊富な点も2WAYタイプの特徴で、床掃除も細かい場所の掃除も1台で済ませたいという人におすすめです。

アイリスオーヤマの2WAYスチームクリーナーはパネル式の弱点を改良

各社から発売されている2WAYタイプのスチーム洗浄機はいずれも加熱方式がパネル式ですが、前述の弱点を改良した製品もあります。

アイリスオーヤマの2WAYスチームクリーナーには、パネル式をパワーアップさせたスーパーヒートスチームという加熱方式が採用されています。

タンクから供給された水をヒーターに通して蒸気を発生させた後、さらに加熱して蒸気の温度を高めているのがスーパーヒートスチームの改良ポイントです。

この方式だと圧力はボイラー型より弱めながら水滴が残りにくい上に、加熱時間の短さはパネル式の長所を受け継いでいます。

連続使用時間が長いキャニスター型

最後に紹介するキャニスター型のスチーム洗浄機は2WAYタイプよりもさらに応用範囲が広く、床掃除からキッチン周りの掃除まで幅広く対応できます。

キャニスター型は普通の掃除機でも主流となっているオーソドックスな形状をしていて、本体は大型でも車輪がついているため移動が楽です。

各社のキャニスター型スチーム洗浄機は加熱方式がいずれもボイラー式で、蒸気の圧力と洗浄力の高さともに最強クラスの性能を誇ります。

キャニスター型のスチーム洗浄機は他のタイプよりも水を入れるタンクが大きく、ボイラー式でも連続使用時間が長いという点は見逃せないポイントです。

キャニスター型になるとボディが大きくどうしても場所を取りますので、収納に余裕がある家庭での使用に向いています。

2タンク式は途中で給水が可能

キャニスター型のスチーム洗浄機はタンクが大型で連続使用時間が長いとは言え、大掃除の際には通常よりも長時間の稼働も想定しなければなりません。

ボイラー式を採用したスチーム洗浄機はタンクが熱くなるため、途中で水がなくなった場合でも熱が冷めるまで補充できないところが弱点です。

キャニスター型スチーム洗浄機の中にはそうしたボイラー式の欠点をカバーする目的で、タンクを2つ備えた製品もあります。

2タンク式のキャニスター型スチーム洗浄機なら片方のタンクで水がなくなっても、もう片方に水を補給することで長時間の稼働が可能です。

1日がかりの大掃除に耐えられる2タンク式のスチーム洗浄機は、家庭用だけでなく業務用としても利用されています。

まとめ

スチーム洗浄機にも以上のように2つの加熱方式があり、製品タイプも大きく5種類に分かれてそれぞれに特徴があります。

ハンディ型とポータブル型はガスコンロなど細かい場所の掃除に適し、モップタイプのスチーム洗浄機は床掃除に特化した製品です。

両方の用途に対応できる2WAYタイプもありますが、キャニスター型のスチーム洗浄機は普段使いから大掃除まであらゆる場面に役立つ万能選手タイプだと言えます。