大人が前向きになれる邦画ベスト3ランキング
世の中の大変なことをかきわけかきわけ、かっこ悪くてもあがいてもなんとか前向きに進もうとするのが大人というもの。
停滞したり、迷惑をかけたり、それでも人生は軌道修正をかけてなんとかほんの少しでもきらきらしたものにしていくもの。
起こったことは変えられないが、その意味は変えられるもの、などと誰かが言っていましたが、そんな大人のためのかっこ悪くてかっこいい、そんな3本を選んでみました。
第1位:「あん」

だいぶ話題になった作品なのでご覧になった方も多いかもしれませんが、世界的にも賞をとっている川瀬直美監督の作品です。
ここ最近の日本映画の中では群を抜いていると思います。
脚本・演出のすばらしさもさることながら俳優陣の演技が秀悦です。
なかでも日本アカデミー賞主演女優賞をとった樹木希林の演技は日本映画ではまれに見る自然で深みのあるもので、観ていない人には是非みてほしい!!と思います。
らい病患者として隔離生活を送った人生の中で、前向きに強く、そしてチャーミングにかしこく生きる姿に、長瀬正敏演じる千太郎も停滞した日々を断ち切ることができるのですが、これらが決して安易な作り物としてではなく観る側に響いてくるのは精魂こめて作られた映画ならではだと思います。
地味な映画だし、辛いことも起こるのですが、それを乗り越えるすばらしさを歌った作品なので自分の人生を切り開いてきた大人でなければ味わえない深みがあります。
第2位:「恋文」
1985年の作品です。
主演は原作のモデルにもなった萩原健一。
ダブル主演にその妻の役で倍賞美津子。
これまた演技がすばらしい。
この時代の作品は演技のいいものが多いのですが、これはまた格別です。
一生懸命誠実に生きようとしていても、あるいはだからこそともいえるのでしょうが、大人になれば色々な問題を抱えるようになります。
誰も悪くないという状況の中での選択はつねに難しさをはらんでいますが、大人になれば問題の多くはそういうものであることを知るようになります。
相手の気持ちも分かる、けれど自分というものもある、という葛藤の中でいったい人は何をどう選択していくのか、何を捨て何を拾う勇気を持つのか、自分に引き寄せて考えさせられる作品です。
これも地味ですが、なんともいえない深みのある作品です。
ちなみに主演の二人はそれぞれ日本アカデミー賞を受賞しています。
後にTV晩も放送されていますが、私はこちらに軍配を上げます。
第3位:「フラガール」

福島の炭鉱が、町おこしのために始めた常磐ハワイアンセンターのフラガールの誕生と成功を描いた作品です。
様々な人たちの群像劇のようにもなっていて、その一つ一つのエピソードも泣けて笑えてなかなか感動的なのですが、やはり主演の松雪泰子演じる講師平山まどかの変わっていく様がじわじわときます。
東京のSKDでそれなりに成功路線を走っていた平山が親の借金のために都落ちをせざるをえず、田舎の無名の温泉街のショーダンサーの講師になるところからはじまる物語ですが、ここで彼女がどう変わっていくのか、そこにリアリティがあるように感じました。
才能と努力だけではどうにもならない世界があるという大人の辛い現実を乗りこえて、彼女がもともと持っていたいい部分が経験を通して磨き出されていく物語に私には思えました。
大人の成長ってそういうものかもしれないなあ、そうやって前に進む力を紡ぎ出すのかもしれないなあ、と思って観た作品です。
まとめ
いかかでしたか?酸いも甘いもかみ分けた大人にしか味わえない、明日も元気にがんばるぞ、とちょっとだけ前向きになれそうな作品を選んでみました。
演技や演出、脚本のレベルもすばらしい作品が並んだと思います。
いわゆるエンタメ作品のような強烈なすっきり感はないかもしれませんが、心に柔らかな風が吹き抜けるような、そんな気持ちよさのある作品たちです。
日常のあれこれのなかで、それでも人はどう生きるのか、考えるヒントになったら嬉しいです。