気軽に見られる社会派の邦画ベスト3
社会派の映画といっても様々ありますが、ここではテーマがそんなに重苦しくなく、ある意味私たちの日常に比較的近い範疇のテーマを取り上げた邦画を三作品取り上げたいと思います。
たとえば、日本にはかつての第二次世界大戦を取り上げた作品も多く存在しますが、戦争という題材は非常に考えさせられる部分は多いもののテーマが重いため、ここでは戦後、特に現代の社会に焦点を当てていきます。
第1位:「シン・ゴジラ」
2016年公開の映画です。
これは多くの国民、もっといえば全国民に見ていただきたい、おすすめの作品です。
作中ではゴジラの正体が何かは明言されているわけではありませんが、それが意図するものを視聴者に考えさせるような映画になっています。
タイトルの「シン」という部分も、「新」なのか、「真」なのか、「深」なのか、はたまたそれ以外の意味を持つのか・・・取りようによってはいくらでも説があると思います。
なお、この映画は宝田明監督の「ゴジラ」で使われた曲やゴジラ像をそのまま使用していながら、庵野監督が独自に新しく取り入れた音楽やゴジラの形態も登場します。
特に、エヴァンゲリオンをご覧になった方にはなじみのある曲やテロップの出し方などもあり、画面を見ていて飽きることがありません。
また、ゴジラが登場した際の政府の対応が事細かに描写されており、我々国民には普段知る由のない部分についても知ることができます。
そういった部分を垣間見ることで、「万が一有事(地震等の天災や、他国からの武力攻撃)が勃発した場合、我々の生活にはどのような影響が及ぶのだろうか。
政府はどのような対応を取るのだろうか」といったことを深く考えることができます。
第2位:「誰も知らない」
2003年公開の映画です。
今では実力派俳優になった柳楽優弥君の初主演作品です。
彼はこの作品で、カンヌ国際映画祭において賞を受賞することにもなりました。
実はこの映画、実際に存在したある事件をモチーフにして描かれた作品だったんです。
母子家庭で育てられた子どもたちの母親が、実は彼らには嘘をついて頻繁に男と出会ったりしているうち、彼らは栄養失調になったり、事故が原因で亡くなったりしてしまいます。
いわゆる、現代では多く取り沙汰されることとなった「子どもの貧困」を一つの角度から仕上げた作品になっています。
主演の柳楽君も俳優として、というよりは素のままの柳楽少年として、とてもリアルな表情、発声、表現をしていたように思います。
作品の最初と最後で明らかに柳楽少年が成長しており、顔つきや声が変わっていることも、実際の年月を感じさせるという意味で良い効果をもたらしていると思います。
もう10年以上も前の映画にはなりますが、日本に蔓延する貧困問題について、その責任は親にあるのか、はたまた社会にあるのかなど、深く考えさせられる良い作品でした。
第3位:「それでもボクはやってない」
2007年公開の映画です。
電車内における痴漢行為の冤罪がテーマであり、その後の裁判の様子なども詳細に描写されています。
主演の加瀬亮さんがとても朴訥な人柄で、冤罪という罪を着せられてしまうことに大変失礼ながらもハマり役なのかもしれない、と思ってしまいました。
この映画はとにかく見ていて「胸糞が悪い」です。
というのも、冤罪であるにもかかわらず、その無実の証明を果たそうとする努力が一切実らず、むしろ裏目に出てしまう部分もあるからです。
我々が普通に生活していればまず経験することのない裁判の在り方や弁護士の在り方などをしっかりと知ることができ、「そんな不条理なことがあるのか」と驚いてしまいます。
また、日本では裁判員制度も導入されて何年か経ちました。
我々がいつこうした事件に(冤罪という形を含めて)巻き込まれるかわからないだけでなく、いつ裁判員として招集されるかわからない状況でもあります。
従って、もし自分が痴漢の冤罪に巻き込まれたら、とか、もし裁判員としてこの事件を裁く立場になったらどのようにふるまえばよいのか、といったことに思いを馳せながら見ることを強くおすすめします。
まとめ
紹介した三作品はどれも我々が生活する現代日本において遭遇しうる状況をとらえたテーマを描いていると思います。
(ただし、ゴジラは「ゴジラ=有事」と置き換えてください。
)普段何の気なしに生活している我々でも、もしこういう事件、事故に巻き込まれたらどうしようかと考えておくことはとても大切だと思います。
人生にリスクはつきものだと思うし、そのリスクはいつやってくるかわからないからです。
恋愛映画等のストーリー性やメッセージ性が強い映画も良いですが、こうした映画によって社会的なテーマを与えられながら、自分なりに深く考えてみてはいかがでしょうか。