スマホよりdapの方が音楽視聴に適しているのはなぜか?音質に有利な4つの理由

DAP(デジタルオーディオプレーヤー)

最近ではスマートフォンを使って音楽を聴いている人も増えていますが、音質にこだわる人はdapと略されるデジタルオーディオプレーヤーを愛用しているものです。

通話やSNSからゲームに至るまで何でも使えるスマホと比べ、音楽再生に特化したdapは音質重視の設計が施されています。

スマホが普及した現在でもdapが根強い人気を維持している理由を、ハイレゾ対応とDACチップの性能、バランス接続、アンプ部の性能という4つの観点から解説します。

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ハイレゾがCDよりも高音質な理由

dapがスマートフォンより音質の面で有利だと言われている理由の1つとして、大半の機種がハイレゾに対応しているという点が挙げられます。

音楽業界は長い歴史を通じて技術革新が進展し、レコードからCD、ダウンロード配信へと音楽メディアの在り方が移り変わってきました。

長らく音楽メディアの主役だったCDは1980年代に確立した技術で、サンプリング周波数44.1kHzに量子化ビット数16Bitという規格は現在も当時と変わりありません。

レコーディングの際のデジタル化技術が進歩したことで、1980年代当時と現在ではCDの音質が大きく向上しているのは事実です。

それでもCDの音質には規格から来る限界があって、原音の音質を可能な限り忠実に再現しようとすればサンプリング周波数と量子化ビット数を上げる必要があります。

近年になって配信サービスが始まったハイレゾには複数の規格が存在しますが、いずれの規格もCDを上回る96kHz/24bit以上でデジタル化されているために高音質なのです。

ハイレゾ音源を再生するには対応機器が必要

サンプリング周波数は1秒間に音声のデジタル化を何回行ったかという回数を表し、数字が大きいほど音質が良くなります。

量子化ビット数は信号の強弱を示す数値で、これも数字が大きいほどダイナミックレンジが高くなるため音質の面で有利です。

サンプリング周波数と量子化ビット数の数字が高ければ高いほど、デジタル化される以前のアナログ原音に近い表現が可能になります。

最近ではe-onkyo musicとmoraなど、インターネットを通じてハイレゾ音源を配信しているサイトも増えてきました。

ハイレゾ音源の多くは非圧縮のWAVファイルや可逆圧縮方式のFLACファイルで配信されているため、ダウンロードしたファイルを再生するにはそれらのファイルに対応する機器が必要です。

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dapはハイレゾ対応製品が主流へ

スマートフォンでも音楽を聴くことは可能とは言え、ハイレゾ音源の再生に対応した機種はまだまだ少ないのが現状です。

携帯オーディオプレイヤーとして一世を風靡したiPodも、現時点では単体でのハイレゾに対応していません。

ハイレゾ非対応のスマートフォンやiPodでハイレゾ音源を本来の音質で再生するには、ポタアンと呼ばれるポータブルヘッドホンアンプとハイレゾ対応アプリが必要です。

追加投資と手間をかけることでスマホやiPodでもハイレゾの音質を楽しむことは可能とは言え、ポタアンを持ち運ぶ必要があるので携帯性は少々損なわれます。

もっと手軽にハイレゾの高音質で音楽を楽しみたいという人には、単体でのハイレゾ再生に対応したdapがおすすめです。

DSDネイティブ再生に対応した製品も

CDを上回る音質が特徴のハイレゾには、大きく分けてPCMとDSDという2つの方式が存在します。

このうちPCMはアナログの音声信号をデジタルデータに変換する際に、パルス符号変調と呼ばれる標本化と量子化を行う方式です。

一方のDSDはΔΣ変調と呼ばれる原理に基づいて音声をデジタル化する方式で、1bitながら2.8224MHzという高いサンプリング周波数でハイレゾ音源化が実現されています。

最近のハイレゾ配信サービスではWAVやFLACといったPCM音源だけでなく、DSDによる音源を配信する例も増加中です。

DSDネイティブ再生に対応したdapならそうしたDSD音源をPCMに変換することなくそのまま再生できるため、音質面でよりいっそう有利になってきます。

音質を大きく左右するDACチップの性能

ハイレゾ対応のdapが一般的なスマホより高音質と言われている理由の1つとして、DACチップの性能に優れる点も挙げられます。

デジタル化された音楽データをアナログ音声に変換してヘッドフォン出力するという基本的なメカニズムは、スマホでもdapでも変わりはありません。

その際にデジタルデータをアナログ音声に変換する役割を担っているのが、DACチップと呼ばれる集積回路です。

オーディオメーカーの中には半導体メーカーが製造した既成のDACチップに飽き足らず、独自のDACチップを開発して自社製品に搭載している例も少なくありません。

音声をデジタル化する際に避けられない量子化ノイズを除去する役目も担っていることから、DACチップは音質を大きく左右する要素の1つなのです。

dapに採用されているDACチップはスマホより高品質

このようなDACチップは、オーディオコンポでハイレゾ音源を再生する場合に必要なUSB-DACと呼ばれる機器にも使用されています。

ハイレゾに対応したdapの中には、据え置き型オーディオ機器に採用されるほど高品位なDACチップを搭載した製品も少なくありません。

一般的なスマートフォンにはコストや消費電力などの理由で安価な汎用DACチップが採用される例が多く、音質の面ではどうしても不利になってきます。

ハイレゾ対応dapは音楽を聴く機能に特化しているため音質重視の設計がされており、DACチップも高品質なタイプが採用されています。

そのようなDACチップには音声のデジタルデータ化に伴う音質劣化を軽減するフィルターが内蔵されているために、同じデジタル音源を再生しても音質の違いとして感じられるのです。

バランス接続でさらなる高音質化

音楽再生に特化したdapは単体でのハイレゾ音源対応や高品質なDACの採用だけでなく、拡張性の面でも音質に有利な要素が備わっています。

スマホで音楽を聴く際にはBluetoothによる無線接続でヘッドフォンやイヤホンを使用する例も増えていますが、普通のヘッドフォン端子と接続する方法がまだまだ一般的です。

ハイレゾ対応dapの中にはヘッドフォンとの接続用として、音質が良くなるバランス接続端子を備えた製品が多く見られます。

バランス接続というのは普通のヘッドフォン端子と異なり、アンプ部との接続に左右独立で合計4本の信号線を使って接続する方式です。

バランス接続で音楽を聴くとステレオ感が増して音の広がりが豊かになり、ヴォーカルや楽器の定位もしっかりとして明らかな音質向上効果が得られます。

dapはアンプ部のパワーも強力

高性能のヘッドフォンを使用してスマホで音楽を聴いた場合に物足りなさを感じることがあるのは、スマホのアンプ部とヘッドフォンが釣り合っていないため音量不足に陥るのが1つの原因です。

スマホにポタアンをつないで音楽を聴くと音質が良くなるように感じるのも、ヘッドホンアンプによって信号が増幅された効果が大きいからだと言えます。

ハイレゾ対応のdapはDACチップだけでなくヘッドホンアンプ部のパワーもしっかりしているため、音量の面でも満足が得やすいものです。

アンプ部の能力の差はDACチップの差以上に音質の違いとして認識されやすいことから、dapを製造しているメーカー側でもこの点を重視しています。

アンプ部のパワーが強力なdapならインピーダンス値の高いヘッドフォンでも十分な音量が得られ、ヘッドフォンの性能を余すところなく体感できるのです。

まとめ

dapは単体でハイレゾ音源再生に対応できるだけでなく、以上に挙げたような3つの理由で高音質が実現されています。

ハイレゾ対応のdapを導入したことで音楽の楽しみ方が大きく変わり、スマホでの音楽視聴には戻れなくなったという人も少なくありません。

普段はスマホで音楽を聴いていて音に物足りなさを感じている人は、dapと2台持ちにすれば新しい世界が広がるものです。