モダン!こっそり観れば人と差がつく、笑えるモノクロ時代劇の邦画ベスト3
レンタル屋さんでdvdを選ぶ時、あなたはどんな基準で選んでいますか?
その時の気分で?人に勧められたから?話題のヒット作をチェック?
動機は様々ですが、たまには趣向を変えて「モノクロ時代劇」なんか見てみませんか。
こっそり一人で観れば、その辺のゆるい映画好きとは差が出ること間違いなし!
「ああ、日本に生まれてよかった!」もしかしたら、そんなことまで感じられるかもしれません。
第1位:「丹下左膳餘話百萬兩の壺」
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28歳にしてこの世を去った天才映画監督・山中貞雄が生前に残した数少ない作品の中の1本。
「丹下左膳」シリーズはに数々の作品がありますが、その中でも「百万両の壺」は有名なお話です。
丹下左膳の時代劇といえば、片目片腕にも関わらずその剣の腕は恐ろしいほど強い!という、いわゆる時代劇お決まりのチャンバラ劇を想像するはず。
ですがこの作品に限っては、なんて可笑しく心温まるホームドラマ、人情喜劇なのです。
物語は「百万両のありかが記されたこけ猿の壺」をめぐるお上と江戸のてんやわんやと共に、父親を殺され孤児となってしまった子・安吉を預かることになった、丹下左膳と矢場の女将・お藤の織りなす不思議なヒューマンドラマを描きます。
絶妙な省略を用いたモダンな演出は、劇中の人間像を的確に表現し、”口は悪いが照れ屋で人情深い丹下左膳”と、”一見するとキツいけれど実は母性に溢れるお藤”の、江戸っ子気質をみごとに描き出す。
ここに描かれる物語は、現代人にも通ずる日本特有の風情があります。
テンポよく小気味に紡がれていく物語は、モノクロ時代劇への偏見を一気に変えてくれること間違いなし!!
少々、音が悪いのでたまに何を言っているかわからない時がありますが、それでも十分楽しめます。
1930年代にも関わらずここまで完成度の高い映画があったのかと、山中貞雄のその早すぎる死を悔やんでなりませんが、それでもこれを観れば、日本の映画が今より誇らしく思えるはず。
第2位:「鴛鴦歌合戦」
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多数の時代劇を監督してきたマキノ雅広による「オペレッタ時代劇」。
モノクロ時代劇のチャンバライメージをみごとに覆す、なんとも粋でモダンなミュージカル映画です!
物語は、貧乏長屋に暮らす可憐で清楚な町娘・お春と恋仲の浪人・礼三郎の元に、礼三郎に惚れるお富、許婚の藤尾、そこにお春に一目惚れしたお殿様が出てきて、あっちへこっちへ恋の騒動が描かれるラブコメディ風の要素を軸に、あますことない「歌合戦」が開催される、陽気で微笑ましいミュージカル。
楽曲のモダンさには、思わず踊りだしたくなってしまいます!
こちらも戦前1939年の作品ですが、そんな古さを全く感じさせない、常に時代の先で輝く新鮮な時代劇のように思います。
ちなみに、主人公お春の父親と、お春に一目惚れするお殿様は「大の骨董狂い」という設定。
丹下左膳にも出てきた「こけ猿の壺」が物語の隅に引用されているので、あわせて観るとより面白いかもしれません。
「戦前の日本にこんな映画があったんだ!」そんな、邦画への新しい価値観をあたえてくれること間違いなしです。
第3位:「幕末太陽傳」

落語の「居残り佐平次」を元に、川島雄三が監督しフランキー堺が主演した傑作時代劇。
一文無しにも関わらず遊郭で毎晩遊びまくる男・佐平次(イノさん)は、銭が払えぬからと借金のカタに遊郭の便利屋と化す。
最初は煙たがっていた芸者たちも、この「イノさん(居残りさん)」の調子のよさと手際の良さについつい用事を頼むようになり、いつの間にか遊郭のアイドル的存在に。
ついには佐平次を巡って恋の争いまで生じる。
その他「品川心中」「三枚起請」など、落語でおなじみの噺を様々散りばめ、リズミカルでスピード感のあるコメディが展開されます。
遊郭で起きる様々な騒動にも屈せず、どん欲に生きる佐平次を演じるフランキー堺の身のこなしが素晴らしい!
実はこの佐平次、「悪い咳」をしています。
この時代に悪い咳といえば、忍び寄る死の影を予想させますが、ドタバタ喜劇とはうって変わったエンディングの静けさは、この作品がただの喜劇ではないことを物語っています。
でもそれでこそ、劇中の人情喜劇がより鮮明に生きてくるのかもしれません。
まとめ
こっそり観れば人と差がつく、モダンで斬新なモノクロ時代劇たちをご紹介させて頂きました。
時代劇といえば、チャンバラ!そんなイメージが覆されるような小気味よい人情喜劇の中でも、斬新な作品を中心にしたランキングです。
いつもとは趣向を変えて、「モノクロ時代劇」をみることで、日本映画に対して新鮮な気分を味わって頂ければ本望です。
ご紹介したのは有名な映画ばかりなので、気になった方は、是非レンタル店でチェックしてみてください!