繊細な少年の心が胸をしめつける洋画ランキング

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誰しもが幼少期を経て大人になるまでの間、自分ではコントロールしきれない感情の揺さぶりを覚える瞬間があったと思います。


今回ご紹介する映画は、そんな大人になるまでの間の多感な時期の少年たちが登場する、繊細で胸を締め付けられるような物語の映画です。


忙しい日常に追われてすっかり自分の幼少期を忘れてしまった人に、特におすすめしたいと思います。





第1位:「ものすごくうるさくてありえないほど近い」

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文句なしの圧倒的第一位です。


この作品はとにかく素晴らしかったです。


主人公の父親役で出演したトム・ハンクスはもちろんですが、何より主役に抜擢された、当時12歳のトーマス・ホーン君。


彼の演技は本当に素晴らしい。


舞台はアメリカの大都会ニューヨーク。


そこで起こった例のテロ事件で大好きな父親を失った少年オスカーが、父親が残した鍵の謎を解くべくニューヨークを奔走するミステリーを若干匂わせつつの人間ドラマです。


もともと内向気味で発達障害のあった少年オスカーは、父親を亡くした深い喪失感からさらにデリケートな精神状態となっていきます。


そのオスカーの心理状態が繊細に細かく描写されていて、そのリアルな少年の苦しみに見ていて思わず目頭をおさえてしまいました。


テロ事件が背景にはありますが、オスカーがテロ事件について憎んだり嘆いたりという描写はなく、そいったところも少年が前を向いて進もうとしている様子が伝わり感動しました。


また普通とは少し違うオスカーの行動や言動にも理解のある母親に、これが母親という生き物なのだと考えさせられました。


少しテーマは重いですが、神経質な子供に悩まされている親御さんがいるのならぜひ一度見てもらいたい映画だと思います。


何度見てもそのたびに泣けます。


アカデミー賞で作品賞をとったのもうなずける、近年まれにみる繊細で出来のいい作品だと思います。





第2位:「BOYA」

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2007年にイギリスで制作された、子供のころに罪を犯した少年の出所後を描いた社会派ドラマ。


主役を演じたのはアメイジング・スパイダーマンのアンドリュー・ガーフィールドさんです。


この俳優は甘いマスクだけではなく、実は繊細な演技が本当に上手なんです。


子供のころに少女を殺害してしまった少年が主人公であることがまず衝撃的な設定ですが、そこから地道に更生の道を歩もうとする主人公につい感情移入してしまいます。


彼の保護管であるテリーは彼の更生を心から願っていて、主人公もテリーを信頼していました。


ところが世間は一度犯罪を起こしてしまった人間にはとても厳しく、社会復帰をすることを許しません。


過去を消すことはできないのです。


恋愛をすることも、友人を作ることも許されません。


そのことで苦しむ主人公の孤独がとてもリアルで、一緒に苦しんでしまいました。


なんとなく主人公が幼少期に犯罪に巻き込まれてしまっただけのようにも思えることが、余計に彼に同情してしまいそうになります。


しかし、一度してしまったことはなくなりません。


人を殺す、罪を犯すとはそういうことなのです。


出所後、まだ世間に犯罪者だとバレる前に主人公はたまたま人の命を助けて新聞に掲載されました。


彼は自分が世間に受け入れてもらえないことで絶望した時、それでも自分は一人の命を救ったことがあるよね、と自分に問いかけるシーンでは、世の無常さに胸が重くなりました。


奪うのも助けるのも、普通に生きるかそれができずに死ぬかも、その分かれ道はただ運しだいのように思えて、何とも言えない気持ちになりました。


少年犯罪だけでなく、人生についてとても考えさせられる作品です。

第3位:「君を想って海をゆく」

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2010年フランスの作品です。


イラクから歩いてフランスに渡った少年クルドは、イギリスに移住した彼女に会うために密航を計画しましたが失敗し、海を泳いで渡ろうと決めました。


そしてかつて水泳選手だったフランス人のシモンと出会い、クルドは泳ぎのレッスンを受けます。


不法入国者に厳しいフランスですが、シモンは妻が難民支援の活動に積極的なことも影響して、クルドを助けます。


難民問題をテーマにしたラブストーリー作品ですが、原題の『WELCOME』というタイトルが映画が何を言いたいのかを表していると思います。


家の玄関にはよくWELCOMEと書かれたマットがひかれていますが、少しもこの国は他人を受け入れようとしていない、そういった皮肉が込められていると思います。


少年のまっすぐな人を愛する気持ちが突き刺さる一方、国境とはいったい何の境界線なのか、人種とはいったい何の違いなのか、そういったことを考えさせられます。


派手な演出は一切ありませんがその分心がざわざわするような、少年の恋愛をまっすぐ応援したくなり、そのためには世界の抱えるこの移民問題、人種差別などに目を向けなくてはいけないなと思います。


見過ごしてしまいがちな社会問題を考えさせてくれるきっかけをくれる映画と紹介しましたが、ストリーの進行としてはラブストーリーが軸になっているので、鑑賞するのに大きく構える必要はありません。


まずは人をそこまで純粋に思うクルドのひたむきさに感動してしまいます。

まとめ

様々な舞台を背景に、それぞれの少年たちのナイーブで時に危なっかしさすらをも感じさせる精神状態がリアルに描かれた作品をランク付けさせていただきました。


この三作品は大人になると忘れてしまいがちな少年時代の気持ちを思い出させてくれて、とても切ない気持ちにさせてくれるます。


その気持ちは若者世代と接するのにいい方向で影響するのではないでしょうか。


またどの俳優も素晴らしい演技力の持ち主ばかりです。


静かなヒューマンドラマが好きな方にはぜひおすすめしたい作品です。


繊細な少年の心が胸をしめつける洋画をご紹介させていただきました。






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