個人的偏見で推す原作ナシのオリジナルアニメベスト3
近年、アニメの放映数は増える一方ですが、その大半は原作付きです。
そうすると、どうしても表現に制約がついたり、物語が完全に完結しなかったりと、すっきりしないことが多々あります。
その点、原作のないオリジナルアニメはそこで完結しますし、制作サイドが伝えたいことを盛り込みやすいので、見ていて安心感があります。
数が少ないのが難点ですが、その中から個人的に推したい作品を3つ紹介します。
第1位:「残響のテロル」
とある実験施設から逃亡した二人の少年が、テロを仕掛けていく物語。
監督は渡辺信一郎、音楽は菅野よう子。
原発からプルトニウムを盗んだり、都庁が爆破されるなどのテロのシーンは、実際にあり得そう。
高校生に実行できるのかという点については、やや疑問がありますが、それでも迫力のあるシーンの数々はかなり見ごたえがあります。
テロを仕掛ける少年たちの過去や、その目的が徐々に明らかになっていく様は非常に良い引き具合で、続きが気になること請け合い。
そして、彼らを追う刑事や追手との知恵比べも、なかなか奥深いです。
また、彼らには、テロの現場を見られてしまったことから、同い年の少女が同行するようになります。
いわゆるボーイミーツガール的な要素も含んでおり、テロとこの男女間の微妙な関係や成長が物語の軸です。
終盤の8話辺りから始まる最後のテロ作戦は意外な方法で、初めて見た時はよく考えたなぁ、と感心しました。
テロの話ということで、放映当初は批判的な意見も少なくなかったのですが、物語としてはとても良くできています。
全体的に暗い話ではありますが、はかなく切ない優しい物語です。
第2位:「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」
ある日、高校生の仁太の元に、小学生の時に死んだはずの芽衣子が現れた。
彼女は仁太にしか見えない幽霊だった。
仁太は芽衣子のお願いを叶えるために動き始める。
高校生の男女の成長や絆を描く青春群像劇。
と...簡単にあらすじだけ描くと、どこにでもありそうな物語に聞こえますが。
とてもその描写が絶妙なのです。
仁太は小学生時代に何人かの級友と「超平和バスターズ」というグループを作っていたのですが、そのメンバー間の恋愛模様とか軋轢とかが非常によく描けております。
少女漫画なみの丁寧な心理描写で、次第に登場人物の関係性がはっきりしていくところがおもしろいポイントなのだと思います。
終盤、芽衣子のお願いを叶えるシーンは涙ナシでは見られません。
埼玉県秩父市を舞台にしており、作中には地元のお祭りなどがしっかりと描写されている点も見どころの一つです。
この作品のおかげで、その年のお祭りの来場者数が史上最高になったらしいです。
第3位:「SHIROBAKO」
4人の女の子が、アニメ業界で四苦八苦しながら働く物語。
主人公は宮森あおいで、制作進行として働いています。
他の3人は作画、CG作画、脚本です。
「ガールズアンドパンツァー」で人気を博した水島努監督の作品。
アニメ業界の様々な問題を、比較的わかりやすく切り取ってさほど深刻さを強調せずに描写している点が良いです。
アニメ業界のダメなところをいちいちリアルに描写すると、物語としてはかなりブラックになってしまいます。
しかし、本作はそういう重い感じはあまりありません。
どちらかと言うと、物語のウェイトは宮森あおいをはじめとする4人の女の子たちが、仕事を通じて成長していくことの方に軸がおかれています。
終盤、お仕事紹介になってしまったり、話の流れに強引さはあるものの、お仕事物語としては良くできています。
アニメ制作って良く募集していますが、それが何故なのか本作を見てやっと理解できました。
夢を売る仕事は大変だと色々なところで耳にしますが、本当に大変です。
まとめ
原作なしのオリジナルアニメは、話数が少ないものが多いですが、その分話のまとまりが良いです。
原作に沿って作るのではなくて、最初からアニメのために作っている作品の方が素直な感じがして個人的には好感が持てます。
そもそもアニメって、オリジナルで作るものだと思いますし。
商業的な問題などで作る機会が限られているのでしょうけど、もう少し数が増えてほしいものです。