黒澤明監督作品邦画ベスト10ランキング
目次
第10位 「どん底」
ロシア文学好きの黒澤明が、文豪マクシム・ゴーリキー同名戯曲『どん底』を江戸時代に置き換え制作した映画で貧しい長屋で暮らす人々の群像劇を描いている。
赤ひげもそうなのだが、黒澤明は全作を通して庶民の群像、生老病死というのを描いた作品が多いが、それが特に色濃く象徴されているのがこの作品。
何か、合戦があるわけでもないのだが、この時代の黒澤作品と言うのは、台詞だけの人間ドラマだけの映画でも、ダイナミックに構成されている。
黒澤明の溢れんばかりのエネルギーを感じ取ることのできる作品でもある。
第9位 「乱」
1985年にフランスとの共同で制作された作品。
黒澤明が初のカラー作品を撮ったのは、1970年に制作した「どですかでん」であるのだが、彼の撮るカラー作品と言うのは、恐らく他の作品とは次元が違う。
構図も含め様式美・綺麗な絵作りとなっており、色に関してはその色が際立っている!
白黒作品までと違い、ダイナミックな部分が減ったという批判もあるのだが、私は乱は好きである。
この作品は、毛利元就の三兄弟の話と、劇作家シェーク・スピアの「リア王」を融合させて描いた内容となっている。
黒澤らしい人間の業というものが生々しく映し出されている。
最後の合戦もものすごいスケールで展開されているが、中でも物語中盤の燃え盛る城から主演の仲代達也が降りてくる場面。
この城だけで数億円というのだからそのスケールに度肝を抜かれるが、ワンカット、ワンカット作り込まれきった作品と言える。
第8位 「生きものの記録」
1955年に制作された作品で、当時原水爆実験が盛んだった時代に作られた。
三船敏郎演じる老人中島喜一は原水爆の恐怖に脅え、ブラジルに移住しようと家族に訴え、自身の仕事も財産もすべて投げ打とうとし、家庭裁判が起きるほどの問題となる。
周りからしたら狂ってる老人を前にして、ある人物がぽつりと言う。
「狂ってのは本当にあの老人ではなく、平然と暮らしている我々ではないのであろうか・・・」と。
原水爆の恐怖が日本を覆っていた時勢、黒澤明の盟友、本多猪四郎は前年に「ゴジラ」を製作したが、黒澤明は違う角度でこの問題を論じておりかなり深い。
第7位 「生きる」
役所に勤め、ただ漠然と生きてきた志村喬演じる渡辺勘治が突然当時死刑宣告に等しい胃がんの宣告を受け、残りの人生をどう全うするかと言うことをが描いた作品。
人生最後は快楽・享楽でもなく、人のため、社会のために働きゆくことこそ幸福であると黒澤明はこの作品を通して訴えたかったのだろうと思う。
「生きるとは何か?」と誰もが自身の生き方を見つめ直すであろう作品である。
第6位 「隠し砦の三悪人」
ジョージ・ルーカスの「スターウォーズ」のモデルとなったと言われる、大冒険ドラマの時代劇のこの作品!
勇壮な佐藤勝の音楽によって映画の迫力度を更に増している。
アクションは目を見張るものが数多く、中でも三船敏郎が馬に乗りながら弓を手に敵を追いかけ射止めるシーンがあるが、あれはスタントマンもCGも何もない中でやってるシーンで度肝を抜かれる。
超エンターテイメント娯楽作品!
第5位 「天国と地獄」
1963年に制作した「天国と地獄」。
三船敏郎演じる権藤金吾のもとに、ある日、ある男(山崎拓)から「子供をさらった。
3000万用意しろ」と脅迫の電話がかかってくる。
しかし、実は誘拐犯が子供を間違え秘書の子供であったが犯人はそのまま身代金3000万円を権藤に要求する。
権藤は絶体絶命の窮地・究極の選択に迫られる。
自分の地位も財産も全て他人の子のために捨てるべきかと。
不惜身命・・・。
この命を一体何に使うのか。
このような窮地に陥ったとき、それ実践できるかどうか・・・。
是非、重厚にして深くスペクタル溢れる大巨編!
第4位 「赤ひげ」
黒澤・三船コンビかつ白黒作品として最後の作品。
加山雄三演じる長崎留学帰りの青年医師保本登が、明日をも知れぬ庶民の患者ばかりがいる療養所に入所し、三船敏郎演じる赤ひげの弟子として大成しゆく師弟劇を描いている。
更に、様々な庶民の群像を生々しく描いており、大変濃い内容となっている。
第3位 「用心棒」
この作品は、クリトイーストウッドが主演した「荒野の用心棒」とリメイクされた作品でもあるが、まずオープニングから目が離せなくなる!
東宝ロゴが写し出されてから、佐藤勝の勇壮な音楽が鳴り響き、力強く三船敏郎が姿を現す。
堂々たる!
また力強さ!
という点で彼に勝る、またこのシーンに勝るオープニングもないかもしれない。
この映画は従来の時代劇と違い、西部劇的要素が加わっている。
三十郎が、行きついた街の問題を解決していく物語だが、彼の何とも言えない人柄が写し出されている。
そして、一番見どころはクライマックス!
三十郎が仲代達也演じるピストルを手にした卯之助らと一騎打ちをする。
あっという間にケリがつくわけだが、この時の演出は時代劇だが西部劇っぽい。
黒澤作品は勧善懲悪でさらに派手な演出が多い。
ハリウッド映画的要素だから楽しめるのだと思う。
第2位 「椿三十郎」
用心棒の続編として、三船敏郎演じる三十郎が主役となった物語。
ある意味、用心棒よりも人間味が出て、更に彼が共に戦うことになる、加山雄三、田中邦衛ら若い青年たちと共に行動するところに用心棒以上のユーモアラスがあるのかもしれない。
三船敏郎の刀さばきはとんでもないスピードで、あっという間に30人の敵をバッサ、バッサと切っていく!
三十郎は映画に登場する人物の中で、また三船敏郎が演じた役のカで私が一番好きなキャラクターだが、本当に男らしく、力強くカッコよい。
そして、最大の見どころである、仲代達也演じる室戸との一騎打ちは見る者の度肝を抜く。
男同士のライバルの結末がここにある!
第1位 「七人の侍」
1954年に公開した映画界の王道の中の王道作品。
人間ドラマ、映像、テーマなど総合芸術としての映画の要素がふんだんに盛り込まれている。
まず、前編の百姓たちが「飯を腹いっぱい食わせるから野武士を撃退してくれ」と侍を雇う場面での、その際、志村喬演じる勘兵衛は一度断っているが、それまでこの百姓を馬鹿にしていた百姓たちが突然「お前らにコメを食わせるためにこいつらが何を食ってるか知ってるか?」と百姓が置かれてる状況を感情むき出しにして訴える。
すると、勘兵衛はそれに心を打たれたのか、その米を受け取り、一言呟く「この飯疎かには食わんぞ」と。
思い出しながら書いてても鳥肌が立つ名場面だ。
七人の侍、また百姓たちとキャラがしっかりと立っている。
そして、見る者の度肝を抜く、クライマックスの大雨の中での大戦闘シーン。
昭和29年にあのような大絵巻を取り切った黒澤明は天才としか言いようがない。
まとめ
映画界の大王者黒澤明は1943年「姿三四郎」を32歳で監督を務めて以来、1998年で亡くなるまでの間、全30作もの作品を世に贈り出しました。
今回ランキングとしてまとめさせて頂き、改めて思ったのは、全作から伝わってくる黒澤明の一念から発しているのか内面から沸き起こっていくる生命力・パワーが伝わってきます。
何かのインタビューで「映画は作っている人間が楽しんで作っていなければフイルムに反映されるんです」という言葉を残しましたが、黒澤明がこの世を去って、本年で18年になるが、その魂はこの30作の中に厳然として残っていることを知りました。
「私は映画と言うものがまだわかっていない」「素晴らしい映画を作りたいんですよ」と晩年語っておりましたが、映画と言うものにここまで命を懸けた男は今後もいないかもしれません。
故に現在、ハリウッドなどで活躍する第一人者たちが黒澤明を尊敬しているのはそういう理由と思います。
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