愛煙家の注目が集まっている電子タバコはどのように生まれたか

電子タバコはタバコを模倣した電子製品で、タバコと同じ外観や煙、味、風味を持っています。

蒸気が噴射され、ニコチンを摂取することができます。

1960年代から電子タバコの元となるものは発明され、さまざまな試みの後、2003年に中国で商品化され、世界へと広まっていきました。

電子タバコがいかに開発されていったのかをご紹介します。



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電子タバコの発明の原点

1963年、ハーバード・ギルバートが煙の無いタバコを発明し、特許を取得しました。

彼はタバコの燃焼に問題があることに気が付きました。

そこで彼は暖かく、タバコの風味がある空気を吸う装置を開発しました。

しかしそれは燃焼は起こらないものの、ニコチンも含まれませんでした。

そのタバコの商品化は失敗し、人知れずに終わりましたが、電子タバコへの第一歩となりました。

ただし倉庫の火事によって、現在では現物は失われています。

彼の発明したデザインは、長いボディ、バッテリー、熱源、フレーバーカートリッジなど、従来のタバコと同様の外観をしていました。

先端から引き込んだ空気がフレーバーカートリッジに到達する前に熱源を通過することによって機能します。

空気が熱源によって加熱されると、風味を拾い、マウスピースを介してユーザが吸入することとなります。

彼の発明した装置の重要な要素は、現在の電子タバコでも使用されています。



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電子タバコの命名

電子タバコを吸うことを英語では、“vape”や“vaping”といいます。

その言葉を発明したのは、マイクロプロセッサーの父親として最もよく知られているフィル・レイでした。

その言葉の誕生は1981年あるいはそれ以前にさかのぼると言われています。

彼は喫煙者であり、喫煙の危険性が何から来るのかを十分に理解していました。

彼は煙の中に他のものがなく、ニコチンだけを吸えないのかを追求しました。

そして「Favor」という名前の装置を1年あるいは2年間、市販しました。

彼の発明した装置は、現代の電子タバコに似ていますが、電子的なものではありません。

ニコチンが早くに蒸発してしまい、タバコの代用品とはなり得ない問題を抱えたものでした。

中国の漢方医ホン・リクによる発明

ニコチンを含む電子タバコを発明したのは、中国の漢方医ホン・リクでした。

喫煙家であったホンは1日に2、3箱のタバコを吸っていましたが、いつかそれが原因で死ぬのではないのかと思っていました。

そして同じく喫煙家であった父親は、すべての喫煙家の恐怖である肺がんの宣告を受けてしまいます。

科学者であったホンは、人びとはニコチンを吸い、タールによって死ぬことに思い至りました。

彼は禁煙し、ニコチンパッチに救いを求めました。

ニコチンパッチを付けたまま、寝入った彼は、ニコチンが誘発した夢を見ました。

それは海が気化する夢で、彼はニコチンを気化するというアイデアを得ることとなります。

彼は2003年に電子タバコを発明して特許を取得し、翌年に商品化し、中国で販売しました。

彼の発明した電子タバコは父親を救うこととはなりませんでしたが、死ぬ前に父親も電子タバコを試しました。

そして電子タバコは世界へと広がっていきます。

2017年までに電子タバコの世界の市場規模は約100億ドルに達するとみられており、フィリップ・モリスやブリティッシュ・アメリカン・タバコなど大手タバコメーカーも電子タバコ市場に参入していきました。

電子タバコの機能

普通のタバコと違い、電子タバコではマッチは必要ありません。

充電式のリチウムバッテリーで機能します。

電子タバコのなかには電子機器と噴霧器が入っています。

噴霧器は、液体のニコチンを気化させ、使用者の吸入作用によって作動します。

液体のニコチンは、タバコのフィルターのような外観の詰め替え可能なチェンバーに入っており、喫煙者は吸入する際にそこに口を置きます。

電子タバコを吸う者は普通のタバコを吸う際と同様に見えます。

吸うことによって、液体のニコチンが噴霧器に入り、電子機器が液体のニコチンを熱して気化させ、蒸気によって喫煙者へと到ります。

ニコチンの蒸気は喫煙者の肺に入り、ニコチンによる恍惚感が起こります。

蒸気はまさにタバコの煙のようであり、また赤い光によってタバコの先が燃える様も再現されています。

第一世代の電子タバコ

第一世代の電子タバコの外観は、普通のタバコを完全に模倣しています。

カートリッジは黄色で、本体は白でした。

タバコに似ている外観のため、使用者にも受けがよく、数年間は人気がありました。

しかし、使用者が多くなるにつれ、その欠点も見つかっていきました。

その欠点は噴霧器にありました。

第一世代の電子タバコの噴霧器は焼き切れやすく、カートリッジの交換の際にも噴霧器の先端を傷つけやすくなっていました。

時間の経過とともに消耗していき、最後に噴霧器から蒸気が出なくなります。

第二世代の電子タバコ

第二世代の電子タバコは、第一世代よりもやや長くなっており、直径も一般的なものは9.25ミリメートルとなりました。

最も重要な特徴は、噴霧器が改善され、外部保護カバーが付けられたことでした。

カートリッジと噴霧器の合併が進んだことも特徴的です。

第三世代の電子タバコ

第三世代の電子タバコは、噴霧器、カートリッジをともに使い捨てのものとして以前の問題を解決しました。

品質も大幅に向上し、外観や素材も変更されています。

電子タバコは安全か

電子タバコは、かつては禁煙ツールとしておすすめと宣伝されていましたが、事情はそう単純には捉えられません。

ニコチンには中毒性があり、電子タバコは普通のタバコに含まれる有害なタールを含みませんが、他の有害な化学成分を含む可能性があります。

アメリカ食品医薬品局(FDA)の検査で発見された有毒物質には、不凍剤に使用され、毒性のある化学物質であるジエチレングリコールなどが含まれていました。

2010年9月、FDAは連邦食品、医薬品および化粧品法に抵触するとして、電子たばこの販売代理店に警告を送っています。

電子タバコの規制方法や年齢制限、喫煙禁止に含めるべきかどうかについては論争があります。

電子タバコの蒸気は、タバコの副流煙と同じくらい悪性のものとされ、一部の国では、電子タバコの販売を完全に禁止しています。

世界保健機関も電子タバコの安全性は証明されていないという立場を採っています。

ニコチン以外の電子タバコ用リキッドも出回っており、アメリカやイギリスでは脱法ハーブのようなものを含んだリキッドを使用し、救急搬送されるという事件も起こっています。

日本における電子タバコ

日本では2010年のタバコ増税前後、ニコチンを含まない電子タバコが流行しました。

その後、ニコチン入りのものも流通するようになります。

凝ったデザインの吸引器も人気を呼ぶようになりました。

政府は、2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックに向けて、受動喫煙対策を強めていますが、電子タバコも規制対象になりつつあります。

まとめ

以上、電子タバコが生まれていった歩みについてご紹介してきました。

現在の電子タバコのもととなる発明は1960年代のアメリカで生まれましたが、その後、なかなか実用化されるまでに到りませんでした。

巨大産業であるタバコ業界の枠組みが変わるような試みはなかなか難しかったのでしょう。

ブレイクスルーとなったのは、中国における発明で、世界に広がっていき、日本においても電子タバコが流行するようになりました。