「スチーム洗浄機」VS「高圧洗浄機」シーン別に有効な洗浄機を徹底検証
年末の大掃除シーズンになると、ホームセンターでは大型の洗浄機が売れ出します。
売れ筋は「スチーム洗浄機」と「高圧洗浄機」ですが、これらは見た目は似ているものの性能がまったく違います。
場合によっては、せっかく買ってもまったく使えなかったということもしばしば。
自宅の気になる汚れや想像する用途にはどっちが適しているのか、元ホームセンター店員が徹底的に解説します。
洗浄機で大掃除を効率化
年末やまとまった休みに、気になっていた家周りの大掃除を始めるという方も多いでしょう。
その時期になると、ホームセンターでは洗浄機が普段の3倍は売れるようになります。
洗浄機は、手や薬剤でやるよりも大幅に時間を短縮でき、限られた時間で効率よく掃除ができる優れものです。
しかし実は洗浄機にも何種類かあり、勘違いして買ったことでまったく使えなかったという声もよく聞きます。
家庭用なら「スチーム洗浄機」か「高圧洗浄機」
ケルヒャーの国内流通が活発になり、家庭用洗浄機も一般的になってきました。
しかし同じケルヒャーが出している洗浄機にも、汚れを落とす方法の違う2種類の洗浄機があります。
代表的なものが「スチーム洗浄機」と「高圧洗浄機」です。
どちらも掃除機のような見た目ですが、用途を見るとまったく別物です。
それぞれの特徴と得意なシチュエーションを考えてみましょう。
スチーム洗浄機とは
スチーム洗浄機とは、その名のとおり水蒸気の力で汚れを落とす洗浄機です。
過去にはテレビショッピングで流行ったこともあり、一度は聞いたことがあるでしょう。
洗剤がなくとも汚れを落とすことができ、本体が比較的小型な設計になっているものが多いです。
除菌も可能
熱せられた水蒸気は高温で、汚れを溶かしたり浮かせたりして落とします。
副次的な効果として、スチーム洗浄機で掃除をすると、煮沸消毒のように殺菌する効果もあります。
細菌が原因で汚れやにおいが出ている場合には、スチーム洗浄機が大きな味方になるでしょう。
高圧洗浄機とは
高圧洗浄気は、圧力をかけて噴射した水をぶつけることで汚れを落とす洗浄機です。
一番身近なのはコイン洗車場の洗車機で、これも高圧洗浄機の一種です。
水圧によって汚れを剥がすので、こちらも洗剤がなくても汚れを落とすことができます。
節水効果
洗車などでも水を使いますが、綺麗に流すには結構な量の水が必要でもったいないと思うことはありませんか?
シャワーノズルを使う場合も多いと思いますが、シャワーノズルを使うと車体を流れる水の量が減り、逆に洗剤が滞留して水を多く消費することもあります。
高圧洗浄機は、水の量を少なくしつつもスピードのある水流を噴射するため、少しの水でも洗剤を滞留させることなく流しきることができます。
つまり時短になるだけでなく、高い節水効果も期待できます。
シーン別洗浄機の選び方
スチーム洗浄機と高圧洗浄機は汚れを落とす方法がまったく違います。
実際に具体的なお掃除のシーンを仮定して、どちらの洗浄機が適しているのか考えてみましょう。
車を洗う場合
よく洗浄機のテレビショッピングでは車に使用するシーンがありますよね。
屋外にあるので汚れも激しく、綺麗になった様子が見て取りやすいのでベストな実験台なのでしょう。
では家庭で実際に洗車するならスチーム洗浄機と高圧洗浄機どちらが有効なのでしょう。
実は車に使用する場合、スチーム洗浄機と高圧洗浄機どちらもおすすめです。
まず外装の掃除に使用するなら、圧倒的に高圧洗浄機がおすすめです。
ホイールアーチのドロの汚れなどは水圧だけでも綺麗にできますし、もちろん洗剤を使った後の流し作業も高圧洗浄機なら節水にもなります。
逆に外装にスチーム洗浄機は使用できません。
場合によっては塗装を痛めてしまうこともあります。
シートなど内装の掃除や、ガラスの内側にはスチーム洗浄機がおすすめです。
シートの汚れは汗や食べ物の食べ残しが多いので、スチーム洗浄機の熱で溶かして洗剤を使わず落とすことができます。
またガラスも手垢などが主な汚れなので、水蒸気の熱で掃除すれば簡単に落とすことができるでしょう。
車を内側からも外側からも綺麗にするなら、スチーム洗浄機と高圧洗浄機両方あればピカピカにできますね。
外壁の汚れ
最近は黄砂や花粉の影響で、外壁の汚れが酷くなったという声をよく聞きます。
外壁を人力だけですべて掃除するのは難しいので、こういう場所こそ洗浄機の出番ですね。
外壁の汚れは風に乗ってきた物質、もしくは雨に混ざって付着したものが主でしょう。
この場合有効なのは高圧洗浄機です。
長年放置してこびりついてしまった花粉などはスチーム洗浄機が有効ですが、スチーム洗浄機の洗浄範囲はあまり広くありません。
高圧洗浄機は、強力なものであれば10m以上水を飛ばせるものもあるので、庭にいながら2階の壁を掃除することも可能です。
外壁の掃除は面倒ですが、こびりついてしまう前に高圧洗浄機で定期的なお掃除をおすすめします。
玄関の掃除
玄関は屋内で唯一土足で上がる部分なので、汚れも激しくなりますよね。
これが1年蓄積するとかなり頑固な汚れが残ります。
玄関で想定できる汚れといえば、靴に付いたドロや砂が多いです。
この場合、汚れ自体はスチーム洗浄機、高圧洗浄機どちらでも対応できます。
しかし、高圧洗浄機を使うと問題があります。
高圧洗浄機は水を噴射するので、狭い環境だとたちまち水が飛び散り辺りを水浸しにしてしまいます。
このため、玄関の掃除にはスチーム洗浄機がおすすめです。
スチーム洗浄機も水を使いますが、水蒸気が主なので水浸しになるような心配はありません。
ドアの枠などに木材が使われている場合には熱と水で痛めてしまうことがあるので、あまり長時間水蒸気を当てないよう注意しましょう。
壁紙の掃除
特にタバコを吸う家庭や、焼肉などを楽しむ家庭では壁紙の汚れが激しくなります。
大掃除ではかなり気になるポイントですが、やはり人力でやるには大変ですよね。
壁紙を掃除するなら、圧倒的にスチーム洗浄機がおすすめです。
そもそも高圧洗浄機は屋内で使用できないこともありますが、壁紙に付く汚れにこそスチーム洗浄機が威力を発揮するのです。
壁紙に付着しやすい油汚れやタバコのヤニ、ホコリなどは熱に弱く、水蒸気で浮かせて除去することができます。
私自身スチーム洗浄機で一番効果を感じたのが壁紙の汚れで、紅茶のようににごってしまった台所の壁紙が新品同様になったのは感動しました。
ただし、繊維質でできた壁紙(紙のようにざらついた壁紙)や、木材がそのまま壁になっている場合、和室の塗り壁などはスチーム洗浄機が使用できないので注意しましょう。
お風呂の掃除
年末の掃除の代名詞といえば、お風呂の掃除でしょう。
こびりついてしまった垢や、パッキンに付いたカビなどは厄介ですよね。
薬剤で綺麗に落とすこともできますが、これらを退治する薬剤はかなり強力で、人によっては体調を崩してしまうこともあるでしょう。
そういった場合も想定して、洗浄機を使って水だけで綺麗にするシーンを想定してみましょう。
お風呂場は水が飛び散っても大丈夫だから高圧洗浄機を使えると思った方は、半分正解で半分間違えです。
お風呂場はいたるところに防水シール加工されており、これは予想外にやわらかく高圧洗浄機では穴が開いてしまいます。
パッキンがはがれてしまうと水が内壁に流れ込み、場合によっては湿気が柱の木材を痛めてしまう可能性があります。
デッキクリーナー付きのモデルであれば床や壁の掃除は可能ですが、パッキン部分への使用はできません。
このためお風呂ではスチーム洗浄機がおすすめです。
垢は油でくっつくので高温に弱いですし、スチーム洗浄機には殺菌効果もあるので、パッキンに付いたカビにも効果的です。
まとめ
このようにそれぞれメリットがありますが、汎用性を考えるとスチーム洗浄機にメリットが多いです。
最近はスチーム洗浄機も小型化、低価格化が進んで家庭でも気軽に試せるようになってきました。
高圧洗浄機もおすすめですが、まずは様々な場所に使用できるスチーム洗浄機を導入してお家周りをピカピカにしてみてはいかがでしょうか。
今回紹介した使用方法は一般的な使用例なので、それぞれの商品ごとに説明書を確認して使用してくださいね。