電子タバコの有害性は本当?それとも嘘?主成分から見てみよう
タバコの代替品として電子タバコが広まるようになりました。
成分は安全性が担保されていてしかも吸い込むのは水蒸気なので害が無いという評判も拡大に貢献している理由の1つでしょう。
ですが近年、電子タバコにも有害性があるという噂が流れています。
果たして本当に電子タバコは体にとって有害なのかどうか、現時点で分かっていることについて見ていきましょう。
主成分は基本的に安全なもの
電子タバコのVAPEはリキッドと呼ばれる液体を熱し、水蒸気にしたものを吸気する仕組みとなっています。
有害性を検証する際にはこのリキッドが何より重要と言えるでしょう。
リキッドの主成分は以下のようになっています。
- グリセリン
- プロピレングリコール
- 水
- 香料
水と香料はどのような分野においても広く使われている成分ですが、グリセリンとプロピレングリコールについては初耳の方もいらっしゃるかもしれません。
まずはこの2つの成分について見ていきましょう。
グリセリンは手広く使われている成分
グリセリンはアルコールの仲間で、どろっとしていて甘い物質です。
用途は幅広く保存剤や保湿剤に使われるほか、甘味料としても私達の食品に使われています。
また医薬品や化粧品にも含まれることの多い成分で、人体の身近に存在する成分と言えるでしょう。
毒性は低く、食品添加剤をはじめとして摂取する機会の多いものなのでほとんど気にする必要はありません。
というかむしろ人間の体内に脂質として存在しているほどなので、安全性は高いと言えるでしょう。
特にリキッドとして使われるグリセリンは植物性グリセリンと呼ばれ、原料はヤシの実などの天然のものとなっています。
なお沸点は290度なので中々気化することはありません。
VAPEでは気化したグリセリンではなく、水のまわりにグリセリンがまとわりついて霧状になったものを吸うことになると考えられます。
また、薬品の安全データシート(SDS)によると半数致死量を示すLethal Dose 50(LD50)の値はラットの場合キログラムあたり27200mgなので、体重60キロの人の場合は27.2グラム×60キロ=1632グラムとなります。
1.632キログラムのグリセリンを一気に飲み込まない限り毒性は現れないので、やはり安全な成分と判断できるでしょう。
目に対して軽度の刺激が認められるのみです。
なおこのLD50の値は経口摂取の場合であり、吸入時のデータではありません。
プロピレングリコールもグリセリンのようなもの
プロピレングリコールもグリセリンと同じくアルコールの仲間で、こちらは無味無臭の油状の液体となっています。
潤滑剤や不凍液といった工業系の用途から化粧品やおにぎりといった身近なものにまで使われている安全性の高い成分です。
グリセリンのように用途が広く構造自体も似通った物質と言えます。
こちらも毒性は低く、基本的に何の害もありません。
用途が広いことからそれは最早証明されていると言っても良いでしょう。
ただグリセリンと同じく目に入ったときに軽度の刺激が認められるだけです。
原料は石油ですが化粧品や医薬品に使われていることから運用に関して安全は保たれています。
SDSによると、マウスの経口摂取におけるLD50はキログラムあたり20000mgとなっていて、60キログラムの男性の場合は1.2キログラムのプロピレングリコールを一気に飲み干さない限り安全です。
むしろ一般の方にとって1キロのプロピレングリコールを調達すること自体が難しいでしょう。
ただこちらも吸入時の毒性については検証されていません。
Lethal Dose 50からみる色々な成分
薬品の致死量の目安となるLethal Dose 50という用語が出てくると少し怖いものですが、そこまで怖がるものではありません。
他の成分のLD50について見てみましょう。
見慣れない成分を見聞きしたときにLD50について調べることは安全性を確認できるのでおすすめのリサーチ方法です。
- 水:キログラムあたり90ml
- ビタミンC:キログラムあたり11900mg
- カフェイン:キログラムあたり192mg
体重60キログラムの人の場合、水を5.4キログラム飲んだりビタミンCを714グラム飲んだりカフェインを11.52グラム飲むと半数は亡くなる恐れがあるのです。
これを見たら怖いですね水、とはならないでしょう。
また「カフェインはたった11グラムで致死量になるの!?」と思われるかもしれませんがコーヒー1杯あたり100mg程度しか摂取されないので、急に100杯分のコーヒーをグビッと飲まない限り致死量に到ることはありません。
これらのことを見てみるとLD50という値の感覚が掴めると思います。
特にグリセリンもプロピレングリコールもカフェインより遥かに安全だということが分かるはずです。
主成分の毒性から見る限り、電子タバコのVAPEは安全と思われます。
ニコチンが検出されることもある
2008年にアメリカでニコチンやジエチレングリコール(比較的無害な成分)が含まれているリキッドが確認されました。
これを受けて平成22年、国民生活センターは国内で販売されているリキッドの成分を調査したところ、少し驚く結果となったのです。
何と国内で販売されている25銘柄45味の中で11銘柄15味でニコチンを検出してしまいました。
ただこのニコチン量はタバコと比べると極めて低いものであり、主成分と呼べるほどの量ではありません。
ですがいずれの業者も「ニコチンは含まれてない」と回答しているため、少しこのあたりには疑惑が残るところです。
ニコチンは日本の薬事法で医薬品成分として指定されているため、微量ではあるものの問題になるかもしれません。
もしニコチンを不要と考えている利用者が知らず知らずニコチン入りのリキッドを利用していたら余り良い状況とは言えないでしょう。
またタバコでは無いという理由で未成年者が吸引する危険性もあります。
ニコチンは毒性は低いものの依存性は低く無いため、健康問題に繋がる可能性は否定できません。
リキッド生産における一刻も早い生産体制の確立を期待したいところです。
実験結果から見えてくる有害性
2016年、バークリー研究所はVAPEを有害なものであると報告しました。
実験によってホルムアルデヒドやアセトアルデヒドといった有害物質が検出されたとのことです。
ですがこの実験、少し疑問が残ります。
疑わしい研究結果
研究者は30秒間隔で5秒間持続して吸引していたのです。
普通、VAPEを5秒吸い込むことはそうそうありえません。
通常の吸引環境とは言えないでしょう。
このような状況では加熱状態となり有害物質が検出されてもおかしくないわけです。
そのうちきちんとした検査結果を公表してくれる研究機関が現れることに期待しておきましょう。
それまでは妙な研究に惑わされないようにしなければいけません。
ただこの研究によって例外的な用途である「熱しすぎるのは良くない」ということは分かりました。
といってもその程度の知見しかもたらしてはくれなかったとも言えるでしょう。
熱しすぎない限り安全と判断できる
成分から見るとグリセリンもプロピレングリコールも安全と言えます。
吸気による致死量の実験結果が無くとも経口摂取の結果が安全性を担保していると言えるでしょう。
かなりの大量摂取をしない限り危険ではありませんし、むしろカフェインよりも安全な成分です。
バークリー研究所の不思議な実験では熱しすぎると有害物質が検出されたとあります。
一体何が燃えてできたのかすら不明ですが、ともかく熱し過ぎないようにVAPEを使っていけば妙な物質は出ないでしょう。
やはりVAPEは安全と判断できます。
まとめ
VAPEの有毒性について見てきましたが、成分から見ていくと安全であることが分かりました。
時折有毒性が確認されたという噂が流れますが、しっかりと研究内容を調べていく必要があります。
あからさまに異常な実験環境を設定されれば有毒性が出るのは当然でしょう。
ただ長期間に渡ってVAPEを使用したという歴史はまだ作られていません。
本当の有毒性はこれから明らかになるのです。
もちろん現時点では有害では無いと結論付けることができます。
これから電子タバコの新しい時代を牽引するVAPEの研究が正しく行われることに期待しておきましょう。