分かりやすい可愛さなどいらぬ!毒薬多めの童話的洋画ランキング

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童話と言えば、人生の教訓や成功物語などを学べるお話。


子供の頃はその可愛らしさや華々しさにしか目がいかなかったものの、大人になるにつれて、隠れていた不気味さや危険に気づいてぞっとする…なんてこともしばしばあります。


今回は大人の童話集。


どちらかというと不気味さばかりが目につく童話を集めてみました。


可愛さは自力で見つけ出してください。


大人になってからの童話はそいうものだと思います。





第1位:「アリス」

ヤン・シュヴァンクマイエル アリス [DVD]

誰もが知ってる「不思議の国のアリス」。


最近では、アリスをモチーフにした作品や商品がたくさんあります。


直球で可愛いものから、ちょっと不気味だけど可愛いものまで実にバリエーション豊かです。


ところが、直球で不気味なものにはあまりお目にかかれません。


今回一位に選んだのは、ド直球で不気味なヤン・シュバンクマイエル監督の「アリス」です。


主演の女の子がとっても可愛い意外の可愛さは皆無。


あとはそれぞれでマニアックな可愛さを見つけ出して楽しんでください。


そもそも人間の役者はアリスとアリスのお姉さん以外出てきません。


あとは、剥製や骨格標本、肉片や牛の舌、枯れ葉や靴下なんかもでてくるオールキャストっぷりです。


ストップモーションという特殊な手法をとっているので、彼の手にかかれば何でも役者に早変わりなのです。


この世にアリスを題材にした映画は数えきれません。


有名どころからマニアックなものまで様々観てきましたが、一番腑に落ちたのはこの作品です。


私の思うアリスの世界観というのは、この映画のように悪夢的で状況を理解させる暇を与えず、思考を乱暴に振り回すようなものなのです。


日常にまぎれて、悪夢への入り口はいつでも開かれていて、隙あらば落っことそうと機会をうかがっているようなお話。


この映画こそ、私の中のアリスを穴へ落っことしてくれた映画だったのです。





第2位:「ペネロピ」

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昔々の遥か昔、ある一族は魔女を敵にまわしてしまい、末代に渡って呪いをかけられたのでした。


その呪いとは、「次に授かる女の赤ん坊は必ず醜い姿で生まれてくる」というもの。


ただ、「真実の愛を手にすれば呪いは解ける」というのも、もちろんセットでついてきます。


ところが、偶然にもそれから一族に女は生まれず、呪いを現代まで持ち越します。


そうしてついに、ある病院で悲鳴があがるのでした。


この映画、なんといっても美術が最高です。


主人公ペネロピが纏うレトロなデザインの洋服や、部屋の壁紙からインテリアのデザインまで。


街中のカフェや公園、市場まで、どこをとっても絵はがきになるような風景がそろっています。


もうこの際、話はぐだぐだでもいいくらいだとまで思いました。


けれど、話も素敵です。


よくある命題と言えばそれまでですが、つい目をそむけてしまいがちなほろ苦い「真実」を、素敵な美術と音楽とユーモアでもって、大人の私たちに優しく教えてくれる童話仕立ての映画です。

第3位:「ひなぎく」

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二人の(かなり)お転婆な姉妹の日常生活です。


「女の子はお砂糖とスパイスと素敵な何かでできている」とマザーグースは言いました。


まさにこの映画はそれを表現していると思います。


この映画を観ている最中、本能が「可愛い」と叫んでいました。


話や結末は決して「可愛い」とは言えません。


けれど、思い返してみると二人のいたずらっぽい笑顔がキラキラと思い出されるのです。


近頃では「可愛い」という表現は、ほとんど全ての意味を内包する便利な言葉になりました。


何も考えずに女の子の口をついで出てくる「可愛い」に辟易していた時もありましたが、自分の中にも抗いきれない立派な女の子が住んでいました。


この映画が作られた当時の時代背景や、風潮など詳しくは分からなくても、いつの時代も、どこの国でも、そういった感覚の共通言語ってあるのだなと思った映画です。


また、夢の世界のような単純な可愛さではない、ひとさじの毒が本当によく効いてる作品だと思います。

まとめ

大人の童話集、いかがでしたでしょうか?
人生の荒波を乗り切り、現実を見てきた大人の皆様には、子供の夢物語はもう響かなくなってしまっているかもしれません。


逆に、大人のための夢物語にも反発したくなる方々もいるでしょう。


そんな時は、こういった適度に地に足のついた童話映画を観ると案外楽になれるかもしれません。