野村萬斎が出演している邦画ベスト3
狂言、能楽師な人なので映画はどうだろうと思っていましたが、そこは発声法の違いかしっかりと見やすい作品となっていました。
声を張る役はまさにハマっていて素晴らしいと思ったほどです。
邦画と言っても現代ものではなく時代物を演じる事が多いのは職業柄でしょうけど、矢張り彼の動きは能の舞台で動いているものに近くまさに綺麗な足運びをしていると思えます。
狂言を知らない人も見てみたら彼の動きの美しさが伝わってくると思います。
第1位:「陰陽師」
やはり野村萬斎の映画と言ったらこれだと思います。
陰陽師、あっていると思います。
近年ではフィギアの羽生選手がテーマ曲を使って演技指導も受けたと言う事で話題にもなりました。
陰陽師は存在は有名でもその実態を知る人は少ないですが、野村萬斎の安倍晴明は記憶に残るくらいに似合っていすぎです。
この晴明が伊藤英明演じる源博将から相談を受け一緒に悪霊退治をしていく話なのですが、おすすめの見どころはラスト手前の博将に道尊の放った矢が刺さり命を落とすシーン。
初めてできた真の友が死ぬ時に涙を流すシーンの二人のやり取りは美しい友情だと思えます。
勿論、他にも見どころはあります。
博将に恋のアドバイスをするシーンなど、慣れているのかなと思えるし博将の思い人が鬼になってしまい貴方の笛を聞きながら逝きたいというシーンも涙を誘います。
この時代には携帯もTVもないから歌を詠んで心を伝えるという今からしたらまどろっこしい事をしているにも拘らず男同士の深い友情は何よりも強いのだなと思いました。
野村萬斎のファンでなくてもこの作品は見て損はないと思います。
第2位:「のぼうの城」
これは小説から映画化されたものですが史実にも実際にあった話なので歴史好きな人ならすぐにピンときたと思います。
キャストもこの当時人気の出てきた若手から大御所までが揃っていたので若い人にも見やすい作品になっていると思います。
戦国の話は歴女には堪らないもので、特に豊臣時代の話は多くのドラマがあるので知っている人も多いと思います。
この話も忍城の水攻めといえば教科書で目にした事もあるのではないでしょうか。
この映画のみどころはその水攻めをされた時、野村萬斎演じるのぼう(長親)が船に乗って踊り皆の注意を引き付けるというシーンです。
そこは能楽師らしく舞台で映える動きで皆の目を一気に集めました。
不安定な水の上で踊るのはともかくとしてその踊りに攻めてきた足軽たちがノッて一緒に踊っている時点でありえないと思うのですがのぼうの目的はそれではなく自分が撃たれるという事で。
見事にそれは上手くいって撃たれて水に落ちたのですがのぼうは助かり生きています。
そして城を明け渡すシーンでのぼうは光成に言いたい事を全部ぶちまけます。
戦争に関係ない者を殺された、殺した奴を見付けて処罰してほしいと。
それを聞き入れてくれるのなら城を明け渡します、と。
その戦略に凄いなと思いながらのぼうは情けないと言われながらも領民の心を確かに掴んでいる領主なのだなと教えられた作品です。
第3位:「陰陽師Ⅱ」
陰陽師の続編で、前回の作品に比べて壮大になっていました。
深田恭子がキーマンの日美子の役をして博将が例に漏れず恋に落ちて晴明にからかわれるところが面白いです。
暴走しそうになる博将は晴明に術で動きを止められて話から外されたり。
そんな中、鬼が表れて身体の一部を食われてしまうという事件が起き晴明と博将がその解明に駆り出されました。
そんな中、博将が友人になった須佐がその鬼だと知って動揺してしまいます。
優しい博将を晴明は叱る事もなく仕方ないと思いながらそれでも共に戦おうとする。
大事な親友だからと前作よりも二人の絆は深いものになり最後は自分の命を懸ける事になって、博将を置いていくつもりが一緒に行くとついてきました。
死ぬかもしれないと言っても一緒に行こうと言い切る博将も格好良かったです。
そして二人で神の領域に行き、都を救うわけですがこちらでもやはり二人の絆が深く描かれています。
大切な友がいるからこそ死ねない、生きたいと思うのならその絆は本物だと思います。
博将には晴明が必要でその逆も然り。
今回は二人で神の領域まで行ってしまいましたが、この二人ならどんな困難にも立ち向かえると思います。
まとめ
野村萬斎は声の出演だけもしています。
有名なところでいえばジブリの『風立ちぬ』のカプローニなどがそうですね。
そして最近、現代の役を映画主演で果たしました。
現代に生きている人なのでその役をやれて当然だと思いますが、時代劇をこなせるのはやはり才能だと思います。
ただ演じるだけでなくその役を格好良く演じる事ができる野村萬斎はやはり凄い人だと思います。
今回挙げたのは時代物ばかりですが、これから先役を演じる幅が広がったらそちらも是非見てみたいと思いました。