dapの対応フォーマットにはどういった種類があるのか?主要な8種類のファイル形式

dap(デジタルオーディオプレーヤー)を購入する際には性能や機能を比較するのにスペック表が役に立ちますが、中でも対応フォーマットは重要なポイントです。
対応するファイル形式の種類が多いdapほど多様なタイプの音楽ファイル再生が可能になるため、以前からの楽曲資産なども有効活用できます。
dapの仕様表に書かれている対応フォーマットについて、主要な8種類の特徴や音質の違いをまとめてみました。
dap用に最も広く普及した圧縮形式のMP3
現在dapと呼ばれている携帯音楽プレイヤーも、1990年代後半に登場した当初はMP3プレイヤーと呼ばれていました。
CDから取り込んだ楽曲ファイルは非圧縮だとサイズが大きすぎるため、容量の限られたdapのメモリには多くの楽曲を収容しきれません。
そこで考え出されたのが人間の耳に聴き取りにくい周波数帯域の音をカットし、ファイルのサイズを小さくする音声圧縮技術です。
さまざまな音声圧縮技術がこれまでに考案されてきましたが、中でもMP3は先行して開発されたため、dapで使われる音楽フォーマットの主流として採用されてきました。
最初に普及したdapがMP3の再生に特化した製品だった経緯もあり、以後も同様の製品はMP3プレイヤーと呼ばれてきたのです。
現在でもMP3プレイヤーという呼び名は残されていますが、よほど低価格の製品でもない限り、現在のdapはMP3以外にも多様なフォーマットに対応するように改良されています。
MP3の音質はビットレートに大きく影響
MP3の音声圧縮方式は非可逆圧縮のため、エンコードの際に失われた音声情報は再生時に復元できません。
CDをそのまま再生した場合と比べ、dapでMP3を再生した音は音質が低下したと感じられるのが普通です。
MP3はエンコード時にビットレートを変えることで、記憶容量と音質がそれぞれ変化しします。
ビットレートを高く設定すればするほど音質の劣化が抑えられますが、その代わりファイルサイズの方は大きくなってしまうのです。
ビットレートを低くすれば容量を小さくできるとは言え音質劣化も避けられず、特に高音域が犠牲になりやすいという特質が見られます。
音にこだわる人はCDから楽曲を取り込んだりする際にMP3のビットレートを高く設定するか、またはMP3より音質に優れた他の音声フォーマットに対応したdapを選ぶしかありません。
iPodに採用された圧縮形式のAAC
MP3に次いで広く普及している音声圧縮形式としては、iPhoneで知られるアップル社の開発したAACが挙げられます。
AACは大ヒットしたdapのiPodシリーズに採用されているだけでなく、地デジ放送やBSデジタル放送の音声にも利用されてきました。
AACもMP3と同様に非可逆圧縮の音声圧縮方式だけに、CDなどと比べるとある程度の音質劣化は避けられません。
とは言えAACは同じビットレートのMP3より音質が上だと評価する人も多く、容量節約と音質とのバランスに優れる点が特徴です。
同じ音質ならMP3よりAACの方がファイルサイズが小さくて済むことを考えると、大量の楽曲をdapに入れて持ち運ぶ人はAACに対応した機種を選んだ方が何かと有利になってきます。
ウォークマンシリーズに採用されたATRAC
この他にも各メーカーが独自に開発した音声圧縮方式が多くあって、一時期は音声規格乱立の様相も呈していました。
そうした中でも特に独自性が高いのは、dapの代表格として人気のウォークマンシリーズに採用されたATRACという音声圧縮技術です。
SONYが開発したATRACも非可逆圧縮方式による音声圧縮技術の一種ですので、音質はある程度劣化します。
同じファイルサイズで比較した場合では、ATRACの方がMP3より音質は上と言われていました。
そんなATRACも現在はdapであまり使われなくなりましたが、2000年代からウォークマンを使っていた人は互換性を重視して、ATRAC対応機種を選ぶのが無難です。
マイクロソフトもWMAを開発
Windowsを発売しているマイクロソフト社も独自の音声圧縮方式としてWMAを開発しましたが、dap市場の中ではあまり普及しませんでした。
dapだけでなくWindowsパソコンでも音楽を聴いている人の中には、Windows Media Playerを使った音楽CD取り込みの際にWMA形式で楽曲ファイルを保存している人もいます。
WMAフォーマットに対応したdapは決して多くありませんが、WMAの音源を持っている人はdapを購入する際にも対応した機種を選んでおいた方がいいでしょう。
ちなみに音質上の特徴としてはWMAの方が低いビットレートでもMP3より音質劣化が少ない反面、高ビットレートでの音質はMP3の方が上回ります。
非圧縮のハイレゾ音源に使われるWAV
少しでも音にこだわりを持つ人は、MP3のような圧縮音源に伴う音質劣化がどうしても気になってしまうものです。
そのような人にはCDを超える音質として注目を集めているハイレゾ再生に対応したdapがおすすめです。
規格上の限界がある関係でCDでは記録しきれなかった周波数帯域まで含め、ハイレゾ音源には高密度にデジタル化された音声情報が記録されています。
ハイレゾの音源は非圧縮のフォーマットと可逆圧縮方式のフォーマットの2種類に大きく分けられますが、どちらも高音質という点では変わりありません。
非圧縮の方が可逆圧縮フォーマットよりも再生時にかかるdapへの負担が軽く、バッテリー消費も抑えられる点がメリットです。
ハイレゾ非圧縮音源の配信状況を見ると、音声をリニアPCM方式でデジタル化したWAVというフォーマットが最も広く普及しています。
ハイレゾ対応のdapならほとんど例外なしにWAVフォーマットの再生に対応していまが、後述するようにWAVはファイルサイズが大きくなる点には注意が必要です。
DSDはもう1つのハイレゾ記録方式
非圧縮のハイレゾ記録方式はWAVだけでなく、リニアPCMとは記録方式が異なるDSDというフォーマットも存在します。
同じハイレゾのフォーマットでもDSDはWAVより音源の数が決して多くありませんでしたが、配信サイトの側でもDSDで配信する例が徐々に増加傾向です。
SONYとフィリップスによって1999年に次世代CDとして規格化されながら、従来のCDと置き換わるほどには普及しなかったSuper Audio CDでもDSDの記録方式が採用されていました。
DSDはdap市場の中でも対応機種が少ない点で不利ですが、音質面ではリニアPCMよりアナログ原音に近いという評価もあります。
ハイレゾ対応dapを導入して可能な限り原音に迫る高音質を味わいたいという人には、DSDに対応した製品がおすすめです。
ハイレゾ音源を可逆圧縮するFLAC形式
WAVやDSDは音質の面で妥協しない人でも満足度が高い反面、非圧縮の記録方式ゆえにファイルサイズはどうしても大きくなってしまいます。
楽曲を保存しておくメモリやストレージの容量に限りのあるdapに入れて持ち歩く際には、容量節約という観点も欠かせません。
そうなるとハイレゾの高音質を維持しながら、ファイルサイズを半分程度まで圧縮できるFLAC形式に対応したdapが有利になってきます。
FLACはMP3やAACなどと違って可逆圧縮を採用した音声圧縮方式で、再生時に元の音質が復元される点が最大の特徴です。
ハイレゾ配信サイトでもFLACはWAVと並んで配信数が多いだけでなく、ハイレゾ音源が再生できるdapの方でも大半の機種でFLACに対応しています。
Apple LosslessはiTunesにも対応
ハイレゾ音源の圧縮方式として使われているもう1つのフォーマットは、アップルの開発したApple Losslessというファイル形式です。
Apple LosslessはALACと略されて表記される場合も見られ、dapの対応機種によってスペック表の記載が異なります。
現状ではハイレゾ音源としての配信数ではFLACの方が圧倒的に多いものの、Apple LosslessはiTunesにも対応している点が有利なポイントです。
CDをApple Losslessのロスレス圧縮で取り込む際にiTunesを利用してきた人は、ALAC対応のdapを選んでおけば今までの楽曲資産を有効活用できます。
まとめ
以上のようにdapで再生できる音楽のフォーマットにも多くの種類あって、対応フォーマットの限られた製品を購入すると楽曲が再生できないトラブルにもつながりかねません。
以前からiPodやウォークマンを使ってきた人には、それぞれの独自フォーマットに対応したdapを選ぶことで楽曲ファイルの互換性が維持されます。
ハイレゾ音源をダウンロードして再生したいという場合は、WAVやFLACだけでなくDSDやApple Losslessにも対応したdapを購入すれば選曲の幅が広がります。