摩訶不思議な世界、異空間を描く時代物邦画ランキング
現実には無かったはずの世界、それはもしかしたらタイムパラドックスによって生み出された異空間かもしれません。
魑魅魍魎が跋扈する世界、でも人々の目には見えず、ある種の強者のみが居るはずの無い彼らを見る。
でも確かに描かれている物事には現実感があり、まるで実在したかのような印象を受ける、そんな漫画やミュージカル脚本を基にした映画で異空間の日本に触れてみませんか。
第1位:「阿修羅城の瞳」
劇団☆新感線の演劇に端を発する映画で歌舞伎俳優である市川染五郎をはじめ豪華なキャストの布陣です。
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かつて鬼殺しと呼ばれ「鬼御門」の副長として恐れられた男。
病葉出門を演じるのが高麗屋の屋号を持つ七代目市川染五郎です。
彼いわく「外連味の効いた殺陣をどれだけ遊べるか」が勝負であったといいますが、派手な殺陣のアクションはこの作品の見どころの一つでもあります。
そして相手役の闇のつばきを宮沢りえが見事に演じていますが、このつばきこそが「恋をすると鬼なる阿修羅」なのです。
病葉出門のかつての仲間でありライバルでもある安部邪空を渡部篤郎が、鬼御門の頭領である国成延行を内藤剛志が演じることによって、この鬼という名の魑魅魍魎が跋扈する世界をより一層引き立てています。
クライマックスではついに「阿修羅目覚めるとき、逆しまの天空に不落の城浮かび」となり、阿修羅の復活が始まります。
現世は魔界に還る、その言葉通りにこの世界は人も鬼も地獄に落ちるのでしょうか。
第2位:「どろろ」
原作は日本アニメーションの祖でもある手塚治虫の漫画です。
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舞台は戦国時代をイメージしながらも架空の世界を設定しており、魔物に体の四十八か所を奪われた百鬼丸を妻夫木聡が演じ、タイトルでもある泥棒のどろろを柴咲コウが熱演しています。
中井貴一演じる醍醐景光が魔物と契り生まれた子供を生贄に差し出すことを約束する、このため体の四十八か所が欠損した状態で百鬼丸は生まれ、寸でのところで逃がされることになります。
この百鬼丸を救ったのが原田芳雄演じる寿海で、百鬼丸の体をまるで未来の医療技術のように再生します。
百鬼丸は奪われた体の四十八か所を魔物を倒すことで取り返していきますが、この頃にどろろと出会います。
ワイヤーアクションやVFXを駆使した演出は当時日本のアクション映画を変えるとのキャッチコピーが付いたほどで、とても見ごたえのあるシーンが創作されています。
ストーリーも脚色されてはいますが、あの手塚治虫の原作ですので文句なく楽しむことが出来ます。
第3位:「スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ」
いきなりスキヤキ・ウエスタンときました。
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かつてのイタリア製西部劇であるマカロニ・ウエスタンをオマージュしており、これが日本風にアレンジされたのでマカロニからスキヤキになりました。
ベースとなっているのは日本映画界にその名を轟かす黒澤明の「用心棒」で、これを落ちぶれた源氏と平家がギャングとして対立するというなんとも三池崇史監督らしいアレンジになっています。
ストーリー自体は用心棒ベースで、見るものを飽きさせることなくテンポよく進んでいきます。
平清盛を佐藤浩市が、源義経を伊勢谷友介が熱演し更に個性的なキャストが脇を固めています。
白の源氏、赤の平家の二つのギャングが争う村へ現れた伊藤英明演じるスゴ腕のガンマン、彼がどちらの用心棒になるのかを巡ってそれぞれのギャングの思惑が交錯します。
拳銃と刀そしてガトリングガンまで登場する派手なアクションシーンは圧巻で見ごたえ十分。
全編英語のセリフで日本語字幕というのも混沌とした世界観に拍車をかけており三池監督らしい演出となっています。
まとめ
どの作品も摩訶不思議な内容と凝った演出によって、まるで異世界に迷い込んだような錯覚を感じさせてくれる映画です。
そこにはかつてこの国にいた魑魅魍魎や魔物、そして鬼が描かれており、彼らは庶民の日常のすぐ隣に存在していたのです。
それぞれの作品に共通するのはある種の日本的な匂いと不思議の感覚、どれも一見の価値有りの映画です。