奇妙な味のファンタジー映画邦画ランキング
昔からファンタジー映画というものは日々の生活の疲れを癒す現代人の必需品です。
日本で有名なファンタジー映画といえば、宮崎駿監督の「風の谷のナウシカ」や「天空の城ラピュタ」とアニメーションが多いですが、今回は実写映画のファンタジー映画、それもいわゆるヒロイック・ファンタジーではなく奇妙な味の映画を紹介したいと思います。
第1位:「ワンダフルライフ」
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日本が誇る映像の魔術師、是枝裕和監督の映画です。
死んでから1週間のあいだに、死者は生前に一番大切な思い出を選ぶことができます。
はざまにある、その施設で働くスタッフは死者の生前の思い出を作り上げ、映像化して、死者を死後の世界に送ります。
突拍子のない設定にも関わらず、死者を演じる役者さんの演技がとても自然なので、死とはもしかしたらとても明るく落ち着いたものなのかもしれず、生きていること自体が、自らの死と生のあいだを行き来している事なのかもしれない、という感想をもちました。
現実を映像化するという、虚実混合した映像の描き方が面白く、ドキュメンタリーのように死後の間の世界が存在するようでした。
この映画には伊勢谷友介さんがでているのですか、役名も伊勢谷友介で本人が「伊勢谷友介しか演じられない。」ということでそのままの名前で出演されたそうです。
神話的世界でもない、死後の世界を奇妙なリアリティーで描いた作品です。
見た後5cmくらい足が地面から浮きそうです。
第2位:「パコと魔法の絵本」

CM出身の映画監督、中島哲也監督の大人のためのファンタジー映画です。
ヘンテコな大人しかいない老人ホームに記憶が一日しか持たない一人の少女がやってきます。
嫌われ者の頑固な老人である綿貫(役所広司)が少女パコ(アヤカ・ウィルソン)と出会い、少しずつ変わっていきます。
記憶することが出来なくても、覚えていることができる。
映像のポップさが爆発していて、見ていて爽快ですが、話の内容は少しずつ重くなっていきます。
「嫌われ松子の一生」のように、絶望はつねに明るさをともなっているのだろうか。
悲しみを知るようになる綿貫がフェデリコ・フェリーニ監督「道」のザンパノのかぶりました。
ということはパコはジェルソミーナなのだろう。
映像がキッチュなので、サーカスを見ているような気分になってくる。
最期にパコがあわれになるのも何となく納得がいく。
ものを作るというのは大変なことだ。
体を張った芸というのはいつの世にも廃れない。
皆、見世物をもとめているのだ。
第3位:「俺俺」

脱力系オフビート派の騎手、三木聡監督の青春ファンタジー映画です。
星野智幸原作。
俺がだんだん増えてきて、三十三人まで増える、という昔ながらの多重人格ものを題材にした引きこもり系ディストピア小説の映画化です。
見どころは、主人公である永野均(亀梨和也)がだんだん増えていき、最期のほうになると女性の亀梨和也が出てくるというところです。
ディストピア物語の特徴はゴールディングの「蠅の王」や オルダス・ハクスリーの「すばらしい新世界」などを例にあげると、人間を管理する世界を描き、その世界から、抜け出す人間を排除するという構造を持っているが、「俺俺」の場合、はじめから同じ人間同士が、最期には殺し合うのだから、どの様な世界においても、ディストピア物語には限界があるということを描いているのだろう。
三木聡は、三十三人の亀梨和也を出現させることにより不気味な世界をポップに映像化している。
奇数であることも計算して作られているのだろう。
思い付きを小説にしたてる手腕、そしてそれを映画化してしまう三木聡監督の感性がほとばしる。
すごい。
まとめ
今回は見ていて不思議な気分になれるファンタジー映画を選びました。
興味を持っていただいたならば幸いです。
それぞれに経歴や出身の違う監督の作品なので、それぞれの楽しみ方があると思います。
たまには生活のことを忘れて、死んだら何を覚えていたいのか、記憶が1日しか持たなかったらどうしようとか、自分が33人もいたらどうなる、と妄想をたくましくするのも楽しいのではないでしょうか。
私は死後のことはできるだけ考えないようにして生きています。