今も昔も変わらない。一昔前の恋愛邦画ベスト10ランキング
目次
第10位 「月よりの使者」
サナトリウムで繰り広げられる甘くほのかな恋物語。
昔の邦画によくあることですが、皆一様に遠慮深すぎて、恋愛に対して身を引きがちです。
お互いがお互いを思いやればこその行動なのですが、そこにまた胸がきゅっとなります。
個人的には、この時代(1934年)にレントゲンが普及していたことに一番驚きました。
第9位 「ほろよひ人生」
邦画初のミュージカルということらしいですが、あまり歌っている印象はありません。
劇中で飲んでいるお酒の量もわりと「ほろよい」ではすまされない感じです。
結末としては「ほろにが人生」といったところでしょうか。
主人公の恋物語に同情しながら、不思議と前向きになれる映画です。
第8位 「若者よなぜ泣くか」
この映画はサイレントです。
役者の声ははいっていません。
ですが、主演の俳優さんの嬉しさ、悲しさ、怒りを眼で訴えかける演技は必見です。
「眼は口ほどにものを言う」という言葉をとても納得させられた映画です。
相手を愛しく大切に思う慈悲の瞳を是非ご堪能あれ!
第7位 「お絹と番頭」
今風の言葉で言うなれば、ツンデレとおせっかい焼きの恋物語。
主人公の女の子の意地の張りっぷりがみていてあきません。
そのくせ、相手に見合い話が持ち出されると慌てふためく姿などは、可愛くて笑ってしまいます。
今と昔の恋の形なんてさほど変わりません。
風邪の看病なんてベタな展開まで用意されている恋愛喜劇映画です。
第6位 「君の名は」
共に戦火から逃れ、また会う約束をした二人が運命に翻弄されながらめぐりあう恋物語です。
とても長尺です。
まだ携帯もネットもない時代ですので、ニアミスを何度も繰り返す様子にはやきもきしてしまいます。
周りの人の善意や遠慮や思いやりに支えられながら、あの人へと続く道を辿っていく二人の姿をご覧ください。
第5位 「隣の八重ちゃん」
お隣さん同士の幼なじみ恋愛未満の初々しい映画。
年下だけれどお姉さんのようにかいがいしく世話を焼く八重ちゃんがとってもチャーミングです。
それにちょっとウンザリ気味の男の子もまた可愛いです。
子供たちのやり取りやちゃちゃの入れ方には現代でも見る光景で笑ってしまいます。
第4位 「有りがたうさん」
気のいいバスの運転手と、それを取り巻く乗客、そして一人のお嬢さんの物語。
バスの運転手が主人公なので、ロードムービーといったところでしょうか。
舞台はほとんどバスの中なのですが、個性的な乗客たちと、移り変わる景色とで全く飽きることなく観れてしまいます。
全体的に素朴な印象ですが、日本人の義理人情がよく描かれていて、心温まる作品です。
第3位 「霧の音」
ああ、人の恋路のままならぬことよ…と感じざるを得ない作品です。
諦めたように「縁がないんだね」と言ったその横顔は少しも腑に落ちていなくて、苦々しげです。
いろんな事情やしがらみで感情を押し殺し、ついにはかなわぬ思いとなった過去を背負う彼の姿に胸が痛みます。
第2位 「夜の河」
大人の恋愛模様を描いた映画です。
私も主人公と一緒に恋して悩みました。
そして同じ決断に至りました。
けれどこれで良いのかなという気持ちが拭えませんでした。
主人公も同じだったようです。
自分の道を貫いたように見せて、本当は怖い。
分別があるように見せて、本当は傷つきたくない。
はっきりしない自分へのいらだち…。
遠くに聞こえる祭り囃子と、主人公の晴れない表情の対比のラストシーン印象的です。
第1位 「愛染かつら」
惹かれ合い、すれ違い、足かせありの王道メロドラマ映画です。
主演は日本映画界の二枚目スター上原謙さん。
実は、このベタベタな脚本にあまり乗り気ではなかったそうです。
昭和初期の純粋な恋愛劇が楽しめる一作です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は音も色もついていない時代の映画も少しご紹介しましたが、今も昔も人の恋心というのはさして変わりません。
また、サイレンとムービーは余計な情報が無い分、比較的自由に主人公の気持ちを解釈して、感情移入しやすい所も魅力のひとつです。
現存しているものは数多くありますので、是非ご鑑賞ください。