名作小説を原作とした邦画ベスト10ランキング

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第10位 「私が棄てた女」

遠藤周作の原作は後半で異様な展開を見せ、軽いタッチの小説なのに不思議な深い感銘があります。


そこを浦山桐郎は全く無視しているので、原作を先に読んでいると不満が残ると思います。


ただ、宗教色を取り去って卑俗な展開にしながらも、映画ドラマとしてはよく出来ていて、佳作の名に恥じません。





第9位 「羅生門」

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黒澤監督の世界的名声のきっかけとなった有名な作品ですが、元になったのは芥川龍之介の「羅生門」ではなく、同じ作者の「藪の中」です。


「藪の中」は非常にあっさりとした知的な短編で、これを映画化しようとした脚本の橋本忍の慧眼には驚きます。


この映画は今や日本でも名作とされていますが、公開当時の世評は今ひとつだったようです。

第8位 「ツィゴイネルワイゼン」

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内田百間の短編が原作とされていますが、それは映画のほんの一部分で、実際は田中陽造のオリジナル脚本と言っていいでしょう。


一部のマニアに褒めそやされていた鈴木清順が初めて一般的な評価を得た映画ですが、観客を選ぶのは間違いありません。


個人的に少し長すぎると思います。

第7位 「炎上」

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三島由紀夫の「金閣寺」のようなキンキラキンの文章をどう映像化するのか。


市川崑は派手な描写は避け、淡々としたリアリズムで処理し、効果を上げました。


母親役の北林谷栄の演技が物凄くリアルで、彼女の代表作の一つでしょう。

第6位 「忍ぶ川」

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三浦哲郎の原作短編は非の打ち所のない出来栄えで、これを映像化する意味があるのかと思います。


熊井啓監督はヒロインに栗原小巻を得たことで、原作のイメージを壊さずに映画化できたと言っていいでしょう。


初夜のシーンは有名ですが、やはり文章と違って生々しく、ない方が良かったような気もします。

第5位 「砂の女」

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安部公房の原作は、男が罠にかけられて砂の穴の底へ誘われ、そこから出られなくなるというストーリーを極めてリアリスティックに描いています。


映画化する際は当然その砂をリアルに描かないといけないのですが、勅使河原宏監督はその難関をクリアして、小説の映像化として理想的な出来栄えにしました。


小説を読んだ印象と映画を見た印象がこれほど一致する作品も珍しいでしょう。

第4位 「山椒大夫」

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森鴎外の原作は短編なだけに、どれだけストーリーをふくらますかが映画化の鍵となります。


この作品は非常にメロドラマティックな処理がされていて、姉が沼に入水する場面、そしてラストの母と息子の再会場面など、涙を誘う名シーンになっています。


もちろん溝口健二が演出しただけに構図と撮影がとにかく見事で、モノクロ画面の美しさにはため息が漏れます。

第3位 「黒い雨」

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脚本にはこの「黒い雨」だけでなく、井伏鱒二の他の短編もストーリーに組み込んであって、映画と原作では印象が違います。


小津安二郎を意識したと今村監督自身が言っている通り、後半は村での日常が淡々と描かれており、放射能障害という災厄を怒りを込めずに描いている点で、かえってプロテストとして効果的です。

第2位 「海と毒薬」

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遠藤周作の代表作はノーベル賞候補に上がるきっかけとなった「沈黙」で、篠田正浩が映画化していますが、原作に比べあまりいい出来とは思えません。


同じ代表作のひとつであるこの「海と毒薬」は熊井啓の手腕が活かされ、素晴らしい出来栄えになりました。


スコセッシ監督が「沈黙」をリメイクしましたが、予定通り渡辺謙が出演していたら、日米両方の遠藤周作の映画化作品に出たという珍しい例になったのに残念です。

第1位 「復讐するは我にあり」

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原作である佐木隆三の一種の実験的な小説は出版された当時、有名監督からの映画化オファーが殺到したそうですが、最終的に今村昌平に決まってよかったと思います。


それほどこの映画は傑作で、原作を凌駕すると言える出来栄えです。


殺人シーンの残虐さ、不可思議なラストなど、リアルな描写でありながら実存的と形容したい深みに達しています。

まとめ

必ずしも優れた小説が優れた映画になるわけではありません。


逆に出来の悪い小説が脚色によって見違えるような傑作になる場合もあります。


評判の高い小説が幸運にもうまく映画化された例を、日本映画の中から自分の独断で選んでみました。







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