美しいだけじゃない世界を旅する洋画ランキング
大自然は美しく壮大ですが、時には人を一瞬で暗闇に引きずり込む大きな力を持っています。
その脅威の力こそに、人は魅了させられ、自ら引き込まれていくことすらあるのかもしれません。
そんな大自然の中で、生きる真理を探し求めた実在する冒険家たちを題材にした映画をご紹介します。
ワクワク、ハラハラするだけじゃない。
命とは何か、人はどのように生きるべきかと考えたくなるおすすめ洋画がこちらです。
第1位:「モーターサイクル・ダイアリーズ」
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世界で最も有名な革命家、チェ・ゲバラが革命家になる以前の、一万キロ以上にも渡る南米大陸を横断した旅を題材にした作品。
医大生だった主人公エルネストはアルゼンチンを出て友人と一緒にバイク一台で旅に出ました。
様々な人と出会い、南米社会の現実を知っていくうちに、エルネストに変化が起こっていきます。
美しいアンデス山脈やマチュ・ピチュなどの遺跡の数々を背景に、ロードバイクで駆け抜けていくシーンの数々は見ていて爽快な気分にさせてくれます。
途中バイクが故障し、仕方なく二人の旅は徒歩に切り替わります。
歩き始めたことによって、二人はそれまでとは違う現実を見始めました。
仕事を求めて鉱山にやってきた貧しい夫婦と出会ったことが、エルネストの意識を大きく変えることになりました。
夫婦は共産主義の為になかなか仕事にありつけないでいました。
「なぜ旅をするの?」
夫婦の問いにエルネストは改めて旅の意味を考えます。
「旅を、知るために」
この旅こそが、エルネストが革命家、チェ・ゲバラになるきっかけになったといわれています。
なんと言っても主演のガエル・ガルシア・ベルナルの演技がとても素晴らしいです。
さわやかな風貌にまっすぐな眼差しが、主人公の真面目で知的な人格を表現しています。
エルネストは当時医大生で、命についても真摯に向き合っていました。
命とは何か。
人間の暮らしはどうあるべきか。
南米だけでなく世界各国の社会への現実に、向き合うきっかけをくれる映画です。
チェ・ゲバラを知る人はもちろん、知らない人でも楽しめる、考えさせるロードムービーの代表作品です。
第2位:「イントゥザワイルド」
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ショーン・ベン監督、冒険家のジョン・クラカワー著作のノンフィクション小説「荒野へ」を題材にした作品。
「荒野へ」は裕福な暮らしを捨てアラスカの地へ渡り、後に遺体で発見された、実在する青年の旅を取材して産まれた小説です。
クリストファー・マッキャンドレスを演じた主演のエミール・ハーシュはこの映画で注目を浴び、翌年に『スピードレーサー』の主役に抜擢されました。
とても繊細な演技で、この役にぴったりはまっていました。
この映画の一番の魅力は何といってもアラスカの美しい景色です。
壮大なアラスカの自然は美しいけれど、厳しさが伝わってきて、行く勇気がなくても言った気分にさせてくれます。
この過酷な自然になぜ主人公はたったひとりで向かったのだろうか。
恵まれた環境にいたからこそ、社会への疑問や人間の生き方の真理を求めたのだと考えます。
人を一瞬で飲み込む程の巨大なパワーを持つ自然にこそ、その答えがあると考えたのではないだろうか。
劇中大きなストーリーの抑揚はないが、静かに心が震えていくのを感じました。
今の生活に不満はなくても、この先の人生に迷うことがある。
そういう人に観てもらいたい映画です。
彼が短い生涯を終える時、彼の目に見えたものこそが、彼の真理だったのでしょう。
幸福が現実となるのは、それを誰かと分かち合った時。
多感な若者にこそ薦めたい青春ロードムービーです。
第3位:「127時間」

あのダニーボイルが監督、脚本、制作をした作品。
登山中の事故で腕を岩に挟まれてしまった登山家、アーロン・ラルストンの自伝がモデルになっています。
アーロン自身も制作に携わり、出演もしています。
ダニーボイル監督らしく、冒頭はノリのいいBGMにアメリカユタ州の壮観な渓谷の景色を、圧倒されながらも軽快に楽しむことができます。
この冒頭の爽快なシーンが、のちに主人公に起こる悲劇を引立たせる効果をもたらします。
この映画は岩場に手を挟まれた主人公が脱出するまでの6日間を描いただけの、ワンシチュエーションの映画ですが、
状況に変化がないながらにも、主人公の苦痛に耐えながら生き抜こうとする描写に多様な工夫がされているので飽きません。
冒険が好きな人間なら誰でも、命のタイムリミットというものを知っています。
刻々と迫るタイムリミットに、主人公がどんどん切羽詰まっていく様子が巧みに表現されています。
効果音にも大変凝っていて、思わず目をそむけたくなるシーンもあります。
生と死のはざま、暗闇の中の光に、人の命の強さを見ることができます。
ラストシーンはぜひ目を背けずに、危険な遊びにのめりこんでしまった男の、生きるための苦渋の決断を見てほしいと思います。
まとめ
人は誰でも一度は、自分の世界から飛び出して旅に出たいと思ったことがあると思います。
大自然に圧倒され、自分の存在を小さく感じたことがあると思います。
今回ご紹介した三作品は、まさにそんな思いで旅に出たり、自然に魅了されていった冒険家たちの体験が映画化されたものです。
人を簡単に闇の中へ沈み込めてしまう圧倒的な力にこそ、人は引き込まれていくのです。
生と死の境界線にこそ、そこでしか見られないものがあるのだと思います。
幸福の意味、命の重さ、人間の真理、冒険家たちが闇の中で見つけた景色を、少しでも垣間見ることができる作品だと思います。
この映画を通して、心の旅に出てみてはいかがでしょうか。
美しいだけじゃない世界を旅する洋画をご紹介いたしました。