浅田次郎ワールドを描ききった邦画作品ベスト3

洋画ランキング

 小説が映画化された場合、原作と大きく印象が変わることがありますよね。


原作より映画のほうが劣っていてガッカリさせられたという思いをした人も多いんじゃないでしょうか。


浅田次郎の小説では自分の信念にしたがって生きる人間の悲しさや優しさがていねいに描写されていて私は愛読することが多いのですが、浅田次郎原作作品で映画化されたなかでおすすめの作品を紹介します。





第1位:「日輪の遺産」(2011年)

日輪の遺産 特別版 [DVD]

 太平洋戦争末期、マッカーサーの財宝900億円(現代では200兆円に相当)を極秘裏に隠匿するという軍部上層部の密命を受けた真柴司郎少佐(堺雅人)とそれを手伝わされる女学生20人と教師の悲劇を描いています。


ご覧になっていない人にネタバレになってしまうといけないのでストーリーは書きませんが是非観て欲しい作品です。


主演の堺雅人の演技が素晴らしいですね。


この人の柔和な笑顔の奥底にはいつも何かしら悲しみ、時には狂気を宿しているように感じるのですが、本作品でも静かな悲しみと苦悩を表しています。


 2011年公開の映画ですが、3月には東日本大震災が起こっています。


「早く避難してください」と津波が来る直前まで防災無線で住民に呼びかけて自らは命を失った宮城県南三陸町職員の遠藤未希(24歳)さんを本作品の女生徒達に重ねあわせてみてしまうのは私だけでしょうか。


背筋を伸ばして凛として生きていくことの美しさを想いおこさせてくれる映画です。






第2位:「壬生義士伝」(2003年)

壬生義士伝
 貧しさゆえ家族を故郷に残し、南部盛岡藩を脱藩して新選組に入隊した吉村貫一郎(中井貴一)。


彼の家族への愛とサムライとしての義をつらぬいて壮絶な最後を遂げるまでの生き方を、人生に絶望し人を殺すことをなんとも思わず自らも死を求める斉藤一(佐藤浩市)と対比させる形で描いた映画です。


 二人の最初の出会いで貫一郎が斉藤に東北弁丸出しで故郷自慢する場面が秀逸ですね。


彼の語りだけで南部盛岡の美しい情景を頭に思い描くことができます。


それと殺陣のシーンの迫力が見事です。


サムライはこんな緊張感の中で真剣勝負していたんだなと感じさせてくれます。


 貫一郎の妻を演じる夏川結衣が素朴ながら健気な雰囲気を出しています。


三宅裕司が貫一郎の幼なじみの大野次郎右衛門役、肩肘張らない演技です。


ちょっと重厚感が足りないと感じる人もいるかも知れません。


 サムライとして最後に残された名誉の切腹を拒否して、にぎり飯を持ったまま崩れ落ちる貫一郎の姿が悲しいですね。


第3位:「天国までの百マイル」(2000年)

天国までの百マイル
 バブル崩壊で経営していた会社が倒産、多額の借金のなか妻子にも逃げられ愛人のホステス(大竹しのぶ)と同棲する城所安男(時任三郎)が重い心臓病の母(八千草薫)をワゴン車で百マイル(160km)離れた病院まで送り届けるという映画。


人生の目的を失い疲れ果てた安男がその過程で自己回復、家族への愛・人々の優しさを確信して再出発をはかります。


 時任三郎だと人生に疲れ果てたダメ男とはちょっとイメージが違いますが、母親のきぬ江役の八千草薫が素敵ですね。


柔らかい雰囲気ながらも気丈で品良く、時には可愛らしく感じます。


大竹しのぶも演技派女優といわれるだけさすがの演技です。


彼女はこういうちょっとくずれた女性役が似合います。


 「親孝行したい時には親はなし」ということわざがありますが、日頃親孝行していないなと感じている人に観てもらいたいですね。


あるいは子供に親孝行してもらってないなと思っているお母さんが息子に観させてもいいかも知れませんね。


まとめ

 ベストセラー作家浅田次郎の作品は映画化されたものも多いですが、私の考えるベスト3を紹介しました。


浅田次郎の作品は悲しい結末のものでも最後にどこかで希望を感じさせてくれるのが魅力です。


逆にそれが不満という人もいるかも知れませんが。


 上記の3作品は上映時間など制限が多い映画の中でも、浅田ワールドをていねいに描いているのでおすすめです。







洋画ランキング